novel
□手をつないで
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それから僕らは色んな話をした。なぜこの街にあなたがいるのか、どんな生活をしているのか。
あなたは介護の勉強をしていると言った。
高校卒業後は大学へ進学したものの、自分のやりたい事が見つかり思い切って大学を中退。
この街にある専門学校へと通っているそうだ。
その他にもこの街の事や家族の話・・・他愛もない話は尽きなかったが、僕にはあなたに聞きたいけれど聞けない事が1つだけあった。
でも無理に聞く必要はない、と思った。
あなたが自分から僕に聞いて欲しいと願って話すまで待とうと。
そうして1年後に同じ季節を迎える時には、僕らの関係はより親しいものになっていた。
高校3年間僕があなたにどうしても伝え切れなかった想いを打ち明けた時あなたは微笑んでくれた。
少しだけ笑顔の裏に哀しみを隠しながら・・・。
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