novel
□手をつないで
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高校時代、僕があなたと過ごした3年間の思い出が詰まっていたあの街を出て、誰1人知り合いのいないこの街で新生活を始めた。たった1人で…。
そんな1人暮らしにも慣れこの街もそれなりに好きになっていたその時に、僕の目はこの街で見かけるはずのない人の姿を横断歩道の向こう側で捉えた。
一瞬目を疑った。
「・・・・・・どうして・・・?」
−どうしてあなたがここに?−
呆然と立ち尽くした僕に気が付いて横断歩道を渡り切ったあなたは変わらない笑顔で僕の名を呼んだ。
『桜弥!!桜弥じゃない!?うわぁ、すっごく久しぶりだね!!』
あぁ、あなたの声は他の何よりも僕の心を揺さぶる。
大好きな植物さえも勝てないんだ。
でも・・・どうしてあなたがここに・・・?
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