〜水の都の護神と青き流星〜(番外小説)

□第1話
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第1話


ホウエン地方


ある船着き場


ミーティア「…………」

ミーティアは受付で手続きをしていた。

受付「はい、ミーティア様ですね。出航は今から10分後です。」
ミーティア「そうか…ありがt…」
?????「やったーっ!!!!」
ミーティア「!」

ミーティアはその声がする方を向いた。

其処には、1人の少女が何かの懸賞に当たった様だった。

受付「あ、一等賞を当てましたね。」
ミーティア「何の懸賞だ?」
受付「はい、一等賞は、ミーティア様がこれからお乗りになるアルトマーレ行きの船のチケットです。」
ミーティア「そうなのか…。」

ミーティアは再度少女の方を向いた。

少女「あ、『サトシ』、『タケシ』、見て見て!! アルトマーレ行きの船のチケット!!」

サトシとタケシの名前を呼ぶこの少女は、皆さんお馴染みの、ヒカリである。

サトシ「本当なのか?」
タケシ「凄いな。」
ピカチュウ「ピーカ。」

サトシ達のリアクションは意外に薄かった。

ヒカリ「もう!! 何でリアクション薄いのよ!?」
サトシ「えっ!? いやその…。」
ヒカリ「あー!! もしかして一度来た事が有るとか!?」
サトシ「まあ…ハハッ、実はそうなんだ。な、タケシ。」
タケシ「ああ、確かに俺達は一度アルトマーレに来た事はある。」
ヒカリ「フーン…何だ…。」
サトシ「アルトマーレか…。」

珍しくそっけないサトシ。

ヒカリ「?」
タケシ「ああ…そうだったな…。」
ヒカリ「えっ? どういう事?」
タケシ「実はな…。」

タケシは、アルトマーレに『前に来た時』に、その時の『出来事』を包み隠さずに言った。

ヒカリ「……そうだったんだ…。」
タケシ「またアルトマーレに来れるとはな…。」
サトシ「ラティアス…元気にしてるかな?」
ピカチュウ「ピカチュウ…。」

サトシ達は受付に向かい、船の手続きをして船に乗った。

アナウンス『間もなく、出航致します。未だ手続きを行っていない者は、直ちに手続きを行って下さい。繰り返します…』

その2分後、船は出航し、アルトマーレに向かった。

その船を追う、『コイキングの形をした潜水艇』があった。

ムサシ「あの船にジャリボーイ達が乗ったわよ。」
コジロウ「よし、俺達も追い掛けるぞ。」
ニャース「そして今度こそピカチュウを捕まえるニャー!!」
ソーナンス「ソ〜ナンス!!」


ミーティア「フゥ…。」

ミーティアは船首でたそがれていた。

ミーティア「さて…これからどうするか…。フッ、何を言っているんだ俺。」

ミーティアは右腕のハンドノートパソコン内のデータの整理をしていた。

暫くの間、船の汽笛、キャモメとペリッパーの鳴き声とキーボードを叩く音、波の音がミーティアの周りを彩った。

船の中ではディナーが行われてからだ。

サトシとヒカリはポケモンバトルをし、
タケシは綺麗なお姉さんをナンパしたが、見事にグレッグルにやられていた。(笑

そんな中でもミーティアは1人で船首に居た。

ミーティア「……………………………………ん? もう夜か…。」

いつの間にか時間は過ぎ、太陽は地平線に落ち、代わりに月と星が空を彩っていた。

ミーティア「……こうして見ると…、綺麗なものだな…。」

ミーティアは手すりに背中を預け、空を見ていた。

風がミーティアの長い髪を揺らしていた。

ミーティア「………そろそろ寝るか…。」

ミーティアは自分の部屋に向かった。


ミーティア「……ん?」

サトシ「あー、美味かった。」
ピカチュウ「ピーカ♪」

サトシとピカチュウがミーティアが入ろうとした自分の部屋の隣の部屋に入った。

ミーティア「…フッ」

ミーティアはそんな2人を微笑ましく思いながら自分の部屋に入った。

ミーティア「…………」

ミーティアはドアの鍵を閉め、ベッドに寝転がった。

ミーティア「フゥ…。ベッドか…。久しぶりだな…。」

ミーティアは久しぶりのベッドの中で就寝した。




アルトマーレ


秘密の庭


ラティアス「スゥ…スゥ…スゥ…」

秘密の庭に1人寝るラティアス。
そう、彼女こそがあのアルトマーレを救った『英雄』、ラティオスの妹であり、兄と共にアルトマーレの護神をしていた。
だが、兄は今、『心の雫となって』妹とアルトマーレを見守っている。
そして、何故か光り出す心の雫。

ラティアス「……ん…?」

その光に起きるラティアス。

ラティアス『…心の雫…お兄ちゃん…?』

ラティアスは『あれから』テレパシーを覚えた。
いなくなった兄…ラティオスの代わりにカノン達と対等に喋れる様に…。

ラティアス『何で光っているんだろう…?』

ラティアスは光っている心の雫に首を傾げるばかりだった。

ラティアス『……お兄ちゃん…?』

ラティアスはその心の雫に近づいた。

すると、何処からともなく声が聞こえた。

?????『…れか…聞こ…るか…?』
ラティアス『?』

その声は断片的だが、『聞き覚えのある声』だった。

ラティアス『だ…誰!?』
?????『…れだ…ィアス…ラティアス…。』
ラティアス『えっ!?』

ラティアスは周りを見渡した。

ラティアス『ど…何処にいるの!?』
?????『…此処…だ…。』
ラティアス『えっ!?』

急に声が一点に聞こえ、ラティアスはその方向を向いた。

だが其処には光る心の雫が置かれている台しかなく、その他には人もポケモンも影も形も無かったが、ラティアスは一瞬で理解した。

ラティアス『もしかして…お兄ちゃん!?』
ラティオス(心の雫)『ああ、そうだラティアス。』
ラティアス『ああ…。』

ラティアスは久しぶりの兄の声に自然と涙が溢れていた。

ラティアス『良かった…、またお兄ちゃんと喋れて…。』
ラティオス『……ラティアス…。』
ラティアス『でも…、何で喋れる様になったの…?』
ラティオス『それはこっちも知りたい。だが……これから『何かが』来る…。』
ラティアス『何かが…?』
ラティオス『そうだ。『悪の集団がこのアルトマーレに来る』…。何故かこんな情報が俺の中に駆け巡ってる。』
ラティアス『!?』
ラティオス『その『悪の集団』はこのアルトマーレ…いや、正確には『俺達』を狙ってこのアルトマーレに…。』
ラティアス『えっ!?』
ラティオス『くっ…!! この体が万全になればそんな奴ら…!!』
ラティアス『…私が…』
ラティオス『…ん?』
ラティアス『私がお兄ちゃんとアルトマーレを守ってみせる!』
ラティオス『なっ!? お前が!?』
ラティアス『大丈夫。私だって護神だよ?』
ラティオス『まあ…確かにそうだが…。もしかして俺達の想像を遥かに越えたものを持っているかもしれない…。』
ラティアス『なんとかしてみせる。』
ラティオス『何だそれ? まあいい…ああ、この事は絶対誰にも言うな。』
ラティアス『えっ? 何で?』
ラティオス『変に喋って変な混乱を起こすのは得策じゃない。』
ラティアス『じゃあ…お兄ちゃんの事も…?』
ラティオス『ああ、そうだ。』
ラティアス「キューン…。」
ラティオス『もし奴らが来るより早く俺が復活したらその時は必ず俺から言うからな。』
ラティアス『うん…。』
ラティオス『今日はとりあえず寝ろ。』
ラティアス『うん。お休み、お兄ちゃん。』
ラティオス『…ああ。』

ラティアスは再び就寝した。

ラティオス『…お休み…ラティアス…。』



第1話終了

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