∞怪盗の間∞
□≪1374≫序章
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≪1374≫序章
四年前。
炎に包まれる研究施設内。そんな炎の中に二人の人間がいた。その内の一人は世界的に有名な大泥棒ルパン三世。彼は左脇腹から出血をしてるのか傷口を押さえながら愛銃ワルサーP38を構えている。そんな彼の前に立つのはまだ十代になるかどうかの少女。少女は感情というものが消失しているのか無表情でルパンを見つめている。手にはサバイバルナイフを持ちそのナイフは彼の血で濡れている。
「これは少しヤバイか…」
ルパンは迷うことなく少女に向けワルサーを発砲するも少女はそれを恐れる事もなく彼に向かって走り出し手に持つサバイバルナイフを首に突き刺そうとする。
「うおっ!…畜生!こんな怪物生み出しやがって!」
少女の攻撃をギリギリで避けるも次々に素早い攻撃を繰り出されルパンはワルサーを撃てず回避するので精一杯の状況だ。しかも、今の彼は左脇腹の傷も有り長い戦いに不利でしかない。
「………」
それは少女も分かっているのかルパンの左脇腹の傷目掛けて蹴りを入れる。
「ぐあっ!」
痛みで顔をしかめるが幾度も死線を越えてきたルパンは素早く少女の足を掴むと力一杯近くの壁にぶつける。
その衝撃で少女は頭を強く打ち持っていたサバイバルナイフを落とし壁に凭れ掛かる。
チャキッ!
ワルサーの照準を少女に合わせ、
「的確に傷を狙いやがって!」
その引き金を引こうとした瞬間。近くの壁が火事のせいで爆発してしまう。爆風が収まりルパンが目を開けて見れば目の前に炎の壁が出来ていた。
「アイツは!?」
トドメを刺し損ねたルパンは慌てて少女の姿を探すと少女は炎の壁の向こう側に立ちルパンをジッと見つめていた。
「………」
「…流石に無事か…色々、弄くられてってから頑丈に出来てるようだな…」
ルパンは再びワルサーを構える。
「…お前さんには恨みはねぇが、これでお終いだ…」
今度こそ終わりと引き金を引くがそれと同時にまた爆発が起こりルパンもその爆風で飛ばされてしまう。そして、それが収まった時には少女の姿はどこにもなかった。少女の姿を探すが炎の壁と爆発の影響なのか建物が崩れてきた為に流石のルパンもその場から脱出をするしかなかった。
燃え盛る研究施設を背に愛車メルセデス・ベンツSSKで走り去るルパン。左脇腹の傷を押さえながらルパンは傷を負わせた少女の事を思う。自分はまたあの少女と出会い今度こそは決着をつける運命だと。
ルパンと少女が再び出会う事になるのはこれから四年後…。
2017.7.9