#学園の間#

□第二話
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《自己紹介×SM本×学級委員》

「ふぁあああああ〜。あ〜眠い…」

大きな欠伸をしながら神無月千早は学校への道を歩いていた。昨日、学校から帰って自分の過去の確認を夜遅くまでしていたせいか寝不足の彼女は機嫌もかなり悪い。そんな彼女が学校までの道筋にある空き地の側を通り掛かった時に、

「や、止めてよ!ぼ、僕、お金なんて無いよー!」

聞き覚えのある声が聞こえたので空き地の方を見れば、三人組の不良らしい男達に囲まれたカブトムシ君がいた。

「小早川く〜ん。俺達、金に困ってんだよ〜。助けると思ってさあ〜」

「そうそう。この前みたいに五千円か一万円で良いから」

「優しい小早川く〜んは困っている俺達を助けてくれるよな〜」

「そ、そんな…この前だってそう言って…グェ!」

不良の1人が小早川の腹を殴り、残りの二人は小早川の鞄を漁る。

「何か文句あんのか?ああ゛ん?」

「あったぜ。一万円入ってるわ」

「そ、そのお金は、さ、参考書を買うお金なんだよ!か、返してよ!」

「小早川く〜ん。黙って俺達の財布になるか、俺達に此処でボコられてお金取られるのどっちが良い?」

三人組はケラケラ笑いながら腹を殴られた事で泣き出している小早川を脅す。

「俺達に歯向かう事なんか弱虫の小早川く〜んは出来ないもんな〜」

「じゃあ、有り難くこの一万円は貰って行くぜ!」

「ヘヘヘ、良い金蔓だぜ小早川は」

大金が手に入り大喜びの三人組の後ろから一つの影が近いてくる。

「遊ぶ金が欲しいなら、真面目にバイトしたら?人のお金を取るのは犯罪だぞ」

後ろからの声に三人組が振り返ると同時に真ん中にいた不良の頭に千早の伝説のファイター、アンディ・〇グばりの踵落としが入り一撃でKOされる。

「な、何ん…グエッッ!」

「こ、コイツ!よくも…ゴバッ!」

残りの二人も最後まで言葉を言う前にムチのようにしなる蹴りで仕留めると、彼等が持っていた一万円を取り上げ、地面に落ちていた小早川の財布にそれを入れると涙と鼻水で顔がグチャグチャになってしまっている小早川に差し出す。

「参考書買う大事なお金なんでしょう。たまたま私が通り掛かったから良かったけど。次はこんなアホ共に取られないようにしなさいよ」

財布を手渡しながらそう言うと千早は、スタスタと学校へ向かって歩き出してしまう。小早川はそんな彼女の姿が見えなくなるまで呆然と立ち尽くしていたがお礼をしていない事に気づく。

「ぼ、僕、助けてもらったのにお礼を忘れてたっっ!ウチの制服着てたから探してお礼しないとっっ!…でも、あの女の人格好良かったなあ〜!」

この時、小早川は恋する乙女の様に千早に惚れてしまったのだった。





小早川に惚れられた事など知らない千早は、学校に無事到着し下駄箱で靴から上履きに履き替えていると。

「おはようございます!神無月さん!」

元気な挨拶に声の方を向けば、梢が笑顔で立っていた。

「おはよう!梢ちゃん」

やあ!と手をあげながら挨拶をすると二人は教室へと歩いて行く。

「そう言えば、神無月さんの過去ってどうなってました?」

「あ〜…。私の高校、大学、社会人の思い出はほとんど消えていたよ。写真とか消えていて泣きたくなった…あと戦国BASARA 関係も全滅!」

「私も写真や思い出とBASARA のものが全部無くなってました…」

思い出のものが無くなったと聞いて二人は深いため息を吐く。重い雰囲気の中千早がポツリと、

「…でも、何故か私の大好きな聖飢魔〇のコレクションや成人指定の此処では言えないのものが無事だったのが謎なんだよな…」

その言葉に梢は『成人指定の此処では言えないものって何っっ!』心の中で叫ぶ。

「しかし、昨日は驚いたな〜!私達の担任と副担任が武田信玄と片倉小十郎とは…」

「ビックリしましたよ!あの二人が担任で…。神無月さんは先生方が来るまで鬼の形相で蒼紅の二人説教してたからクラスのほとんどの人が引いてましたよ」

「アレはあの二人が悪いわ。また同じ事したら…今度は消滅させるから!」

ウフフと笑う千早の目は一切笑っていなかった。その後は世間話をしながら二人は教室に入ると千早と梢はそれぞれの席に荷物を置くと昨日友達になったかすがの席に向かう。

「オウィーッス!(ドリフ口調)おはよう!かすがちゃん!」

「おはよう!」

「おはよう。お前達、朝から元気だな」

先生が来るまで話しをするつもりなのかかすがの近くの席から椅子を借りて座る二人。千早に至っては紫の野菜生活とカフェラテ、調理パン数個とお菓子をかすがの机に置き食べる始末である。
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