#学園の間#
□第一話
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《若返り×入学式×踵落とし》
朝、一人の女性が下着姿で洗面所の鏡の前で酷く驚いていた。
「…な、何で若返ってんだ!?この引き締まった腹筋は高校時代のだぞ!」
彼女の名前は神無月千早。今年、三十〇歳になる立派な社会人の筈なのだが彼女の言葉通り、何故か身体が若返っていたのだ。
「昨日までの脂肪たっぷりの腹は何処に!?って言うか、仕事遅刻するじゃん!」
遅刻しては不味いと千早は近くの棚にいつも置いてある仕事用のジャージを着ようと手を伸ばすが棚に沢山ある筈のジャージが一着もそこになかった。
「ジャージが何故に無い?これは、もしかして、仕事に遅刻すると言う私の夢なのか!?」
「千早ッッ!!何してるのッッ!!入学式早々、遅効する気。早く高校の制服に着替えて学校に行くわよ!」
バコッ!!
あまりに遅いに千早痺れを切らした母親が現れ、千早の頭に強烈な拳を一発をくれる。
「早く、そこのハンガーにかかっている制服に着替えなさいよ!」
そう言うと台所の方へ行ってしまった。
「…い、痛みがあるぞ。…入学式、制服…これは、本当に若返ってる!?」
頭を混乱させながら千早は高校の制服に着替えるのだった。
[私立 婆娑羅学園]
そう書かれた校門の前で千早は頭を抱えていた。
「…自分がオタクなのは認める。戦国BASARA は大好きだ。ゲームの世界に行くって言うのはオタクだから何度も憧れたよ!戦国の時代に行くなら分かるが…何故に学園BASARA !?」
これからの高校生活が何となく予想出来た彼女はクラス表を見に行く事にする。母親とは校門に着くなり、別れてしまったので一人でクラス表を貼っている掲示板へ向かう。
「私のクラスは、何組かの〜。え〜、私は16組か。クラスメートは…伊達政宗、真田幸村、徳川家康…やはり、BASARA キャラがいる。しかも、同じクラスかよ…」
蒼紅と同じクラスになった事に顔を引き吊らせ千早は痛くなった頭を押さえながらもクラス表を見続ける。
「…って、本当にどうしてこんな事になってんだ…クラス表に高校時代の同級生の名前は一つも無いし…ん?篠原梢。これは梢ちゃん…?」
オタク友達の名前を発見し、物凄く嫌な考えを振り払おうと頭を振っていると、
「やっぱり!!学園BASARA だ!政宗と幸村、家康と同じクラスなんて嬉しい!!」
聞き覚えのある声に気付き、横を向けばオタク友達の篠原梢が立っていた。
「…も、もしかして、梢ちゃんでは?」
「はい?私、梢ですけど…貴女誰ですか?」
それを聞いた千早は物凄い遠い目をしながら、
「貴女のオタク友達の神無月千早ですがな」
「え!?神無月さん!?えーと、かなり姿…」
「皆まで言うな!!本人が一番分かっているっっ!」
涙目になりながら、千早は梢の言いたい事を言わせないように叫んだ。
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