BSR
□彼岸に沈む紅よ
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政宗と幸村はにょた
毛利はいません
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罪だと分かっていようと
止められぬものがある
『彼岸に沈む紅よ』
昼休み。教室内は既に幾つかの塊が出来ており、グルーピングされ賑わいをみせている。目の前で昼食と菓子を並べ立て口に含む者は栄養が全て胸に行っているのだろう。昨年から知り合って今に至るが、彼女がダイエットの言葉を発したのは聞いたことがない。
そして、
「佐助!この出汁巻き玉子は旨いな!」
「でしょー。このケーキも頑張ったんだよー。ぁ、政宗にも作ってるから食べてね!」
彼氏が何故親友に弁当を作っているのか疑問と怒りがあるが、幼なじみだからで片付けられてしまった。聞けば、一つ年上の佐助は幸村と兄弟のように育ったという。恋愛感情じゃないから安心して。と、言われずるずると共に過ごしている。持参していたらしい使い捨てタイプの皿にシフォンケーキを乗せフォークを添え手渡された。バニラビーンズの入った生クリームが中央に盛られている。
「Thanks」
「どう致しましてー」
下の階にデカい自作の重箱(奇しくも俺の分も含まれるよになった)を持って来るのなんて、こいつ以外いやしないだろう。
そうして、次の授業が始まる10分前までには全て片付け上に戻って行く。ひらひらと手を振る姿がどうにも緩い。
「毎日毎日良く頑張るよ、ホントに」
「むぐ?佐助は好きでやっているのであろう。政宗殿は好意に甘えておればよいのでござるよ」
それだけ言って手元に残しているケーキを口に運んでいる。
純粋に佐助との仲を応援してくれているのは伝わるが、解せない所が蟠っている。
次の授業は現物だったなと、合わせていた机を元に戻し準備をしていると鞄の中で携帯が光り始めた。
佐助か?
教師が早く来て見つかったらどうしてくれるのかと思いながら手早く見れば、差出人の予想は外れていた。
ちらりと隣の幸村へ視線を遣り、平生と何ら変わらぬ声で語り掛ける。罪悪感はプラマイ零
いいだろう?
俺だって、
それなりに、
「Hey,幸村。今日は部活あんのか?」
「佐助も某も今日…というか今週は下校時間ギリギリまで残らねばならないようで」
「大会近いもんな」
「共に帰らせられず申し訳ない」
「謝る事じゃねぇよ。頑張れよ、マネージャーさん」
拭えない罪悪感はあれど、甘い水を求めてしまうのが人間だろ?
なぁ、道理や情で揺らぐものじゃないんだよ。
【本文】今日の放課後時間があれば例の教室で
【返信】okay
罪は事情を酌量してくれる、だろ?