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10/22(Wed) 17:43





灰色の世界に黒い人が歩いていました。

黒い人は、小さな光る種を見つけたので
大切に大切にそだててみました。
長い時をかけて、種は芽を出し花開き小さな実を結びました。
それは強く強く光り輝いて、黒い人はとても喜びました。
でも次第に、その光りのあまりの眩しさに、黒い人は少し哀しくなりました。

黒い人は、輝く実を優しく抱きかかえて、旅に出ました。
輝く実は、灰色の世界を明るく照らしましたが、黒い人の影は濃くなりました。

輝く実は大きくなって、抱えきれなくなったので、黒い人は立ち止まってしまいました。
そしてまた、小さな光る種を見つけました。黒い人は、種を植えてみました。
こんどはすぐに育ち、大きな実をつけました。
その実は、淡く優しく輝いたので、黒い人は安心してしばらく見惚れていました。
そのうち大きな実は、暗くなったり輝いたりと、点滅するようになりました。
黒い人は、目が痛くなってしまいました。
黒い人は涙を流しました。
黒い人の涙は黒いので、地面に落ちて拡がり、世界は少しずつ暗くなっていきました。
大切なふたつの実が黒い涙に汚れてしまわないように、黒い人はその場を離れることにしました。
離れれば離れるほど、黒い涙はたくさんたくさん流れて止まらなくなってしまいました。

灰色の世界は、黒い人が歩く場所からゆっくりと黒い涙に汚れて闇へと変わり始めました。

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