黄昏れヒットマン

□ドゥーチェ
1ページ/1ページ


「ねぇ、骸。沢田綱吉って何かムカつく」

唐突に…若きボンゴレ後継者候補の名前を出す貴女。

「どうしてですか?」


「だって沢田綱吉には指導者がいる」


嗚呼…何かと思えば。


「アルコバレーノの事ですか?彼はボンゴレの指導者ではなく、家庭教師らしいですよ」

「教師も指導者もあんまり変わらないよ」

確かに。

「…それもそうですね。でもそれがどうかしたんですか?」

貴女はゆったりとした足取りでソファに座る僕に歩み寄る。

「指導者が現れてから沢田綱吉の生活や環境が変わった。それが苦痛を伴う事だと分かっていても、怪我をしても沢田綱吉は笑っている」


そう言いながら貴女は僕の隣に座る。


「笑顔でいる事が気に入らないんですか?」


「そうじゃなくて…」と言葉を濁らせる貴女。続きが気になった僕は言葉の促すように頭を撫でてやった。


「私達に指導者がいれば骸も犬も千種もクローム…いいえ、凪も笑顔でいられたんじゃないのかな」


無意識にかは分からないが自分の名前を“もしも”の中には入れなかった。彼女自身どこかで諦めているからだろう。


そんな貴女に僕自身 嘘か本物か判断のつかない笑顔を向けた。すると、苦しげな表情の貴女が僕の両目に映る。

見ていられない。故にいつも表情を見なくていいように抱きしめる。


「…――。」


今からでも遅くはないだろうか。
ドゥーチェを探しましょう。


(あなた方の笑顔を見る為にも)
(“もしも”を憧れではなく現実とする為にも)




.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ