黄昏れヒットマン
□退屈
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「ねぇ、恭弥」
静寂に包まれた空間を壊す音。壊したのは少女。目線の先には学ランを方に羽織った少年。
「群れが嫌いって言ってるわりには最近サワダマグロとかいうヤツらと群れてばっかりじゃないのよ」
少年は“沢田綱吉だ”と訂正しようかどうか考えたが少女の「黙ってないで何か言いなさいよ」の言葉により躊躇した。目の前の少女から目を逸らす事なく寡黙という姿勢をとり続ける。
「…………最近の恭弥、楽しそう」
少年の寡黙な様子に耐え切れず俯く少女。
一方、少年はというと少女の言葉を予想していたのか意外という感情の込められた「ワオ」を息をするかのように自然に呟き。「そうだね。僕は楽しいのかもしれない」と続けた。
「そんな群れて楽しそうな恭弥見ててつまらない」
「君にどう思われようが僕には関係ない」
「………あっそ。じゃ私はもう雲雀恭弥には関わらないわ」
微笑みながら目に涙を浮かべた少女の言葉と共に扉は閉じられた。
少女が去って出来た一人の空間。遠ざかっていく廊下を走る音を聞きながら少年がぽつりと呟いた。
「…退屈」
感情のこもっていない声だったが。その言葉は少年の耳に残った。