■□ we're gone. □■

□香
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コツコツと、扉を叩く音がする。
寝台へと横になっていた甄姫は、体を起こさずに扉へと横目を向けた。
扉の窓から、月明かりに照らされてゆるく人影が見える。
その影はほんの少しの間下を向いて、扉を開いた。
暗い部屋の中、ぼんやりと明かりを入れて影をはっきりと写し出す。
それは、少しも此方をみずに、自分の隣へとひっそりと横になった。
こちらには背を向けて、
自分に触れない様に距離を置いて。

静かに目を伏せて思う。

嫌ならば、来なければ良いのに。


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