□フリリク
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「絶対こっち!」
「いーや、こっちだろ!」

いつもの様にテレビの中に入った特捜隊の面々だったが、しかし今日は中々探索に出発出来ずにいる。
拠点としているスタジオの様なフロアでは、特捜隊が真っ二つに分かれていた。
千枝、雪子、直斗の女子組と陽介、完二、クマの男子組である
それと言うのも本日は捜索では無くレベル上げが目的であり、体力差等のペース配分を考慮してその様に分けたのであるのだが、リーダーがどちらに入るかでもめているからであった。

「てか女子男子なんだから当然蒼ちゃんはこっちでしょ!ね、雪子!」
「うん。私も千枝が正しいと思う」
「ですね。残念ながらレベル的にもそちらの組みに若干離されてますし、こちらに入って頂くのが…妥当かと」

千枝が蒼の両肩に手を置いて引き寄せ、雪子と直斗がその両側を固める様に立った。
しかし負けじと陽介やクマも女子組に意義を申し立てる。

「リーダーは中立だろ!」
「そうクマよー!つーかぶっちゃけこんなムサイパーティー嫌クマー。華が欲しいクマよー!」
「馬鹿…っそれは言うなクマ…っ」
「まあ、確かに月宮先輩がいるといないとじゃモチベーションは違うっすよね…」

完二もぼそりと呟く。
すると陽介も諦めたのか開き直って「そうだよ、潤い欲しいんだよ!」と叫び、女子群に冷たい視線を貰ってしまった。
そんな一連の流れを見ていたりせが、半眼で男子組を見遣る。

「…てか、あんな飢えた狼の中に先輩放り込むとか有り得ないでしょ。シャドウよりキケンー」
「りせちゃん良く言った!」
「シャドウより危険…ぷぷ」
「天城さん幾らなんでも笑っては失礼なのでは………と言うか、月宮さんのお考えはどうなんですか?」

ツボに入りかけてる雪子を宥めながら直斗は成り行きを見守っていた蒼を見遣る。
蒼は周りのやりとりにクスクスと笑みを零し、皆の視線を受けて口を開いた。

「うん。実は最初から女子組に入ろうと思ってたんだけど。直斗の言った通りレベル少し開いてるし。そっちは陽介とクマで回復と補助、担えるでしょ?クマはナビも出来るし」
「そ、そんな…クマが有能が故に…!なんちゅージレンマ…!」

がくりと崩れるクマに陽介も溜息を吐いて、完二も静かに肩を落とす。
対して女子組はイェーイとハイタッチして早速出発と、蒼を取り囲んで探索に繰り出した。

「…ちょっと可哀相だったかなぁ」
「いーのいーの!明日になればけろっとしてるって」
「たまには女子だけってのも良いよね、直斗くん」
「は、はい」
『りせちーもお忘れなくー』
「はは、本当に男子禁制みたいだね」

ナビのりせも加わり、蒼も皆の楽しそうな明るい声に頷いて笑顔を浮かべた。
まがまがしい世界だと言うのにその集団の周囲だけが明るくて、シャドウ達も遠慮しているかの様に為りを潜める。
レベル上げが目的だったと言うのに、本日特捜隊女子達は賑やかに同性だから言える様な内緒話しで盛り上がったのだった。

当然その頃男子組が次こそは、と思っていた事は言うまでも無い。


―――――


青紀さまへ
特捜隊男子vs女子→♀主。

特捜隊は女子の方が確実に強いですよね(色んな意味で・笑)
相変わらず大人数を喋らせるのは難しいですorz
ご期待に添えているか解りませんが貰って頂けたら幸いです!
この度はリク有難うございました☆



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