文
□パロ
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その日、足立はたまたま非番だった。
蒼夜は学校の為日中は暇だったのだが、しかし少年が帰って来てからは部屋の中が一気に活気づく。
蒼夜は昨夜から食材を下拵えしていて、今日はその仕上だ。
足立も手伝える事が無いかと申し出たが、しかし「足立さんは今日の主役なんですから、ゆっくりしてて下さい」と言われてしまった。
なので今は大人しくだらだらとしながら、存分に腕を奮う少年の姿を見遣る。
本日、足立は誕生日であった。
小さい頃は毎年何だかわくわくしていたその日も、大人になれば365日のうちのただの1日でしか無い。
しかしそんな自分にとってたいした日では無い1日を、少年は祝う気満々で、こうして料理を作ってくれている。
「蒼夜くん、」
「わ…っ」
足立はのそりと立ち上がり、台所に立つ蒼夜を背後から抱きしめた。
愛しい塊に触れて形をなぞり、髪に鼻先を埋めて匂いを嗅ぐ。
「くすぐったいですよ、透さん」
「んー?んー…あー蒼夜くん、良い匂い…」
「まだシャワー浴びてないから…」
「うん。汗の匂い。…なんか、堪んないなぁ…」
「ひぅ…っ」
首筋に噛み付き、エプロンの裾から忍び込ませた指でシャツのボタンを外す。
上着を脱いで制服のままエプロンをつけている少年は、何だか酷く甘い背徳感を誘った。
足立は片手で少年の胸をまさぐり、突起を虐めながら、もう片手で太腿を撫でる。
蒼夜はキッチン台に手をついて崩れそうになる体を支えているが、刺激を与える度にびくりと跳ねた。
「ん…っふ…透、さ…料理、途中…」
「蒼夜くんが食べたいなぁーなんて…」
駄目?
情けない声で伺ってくる足立に、首を振り返えらせた蒼夜は苦笑して、口づけをねだる様に目を閉じた。
足立は促される様にその柔らかい唇に唇を擦り合わせ、舌先を絡ませると、ぬるぬるとした感触に蒼夜は体を震わせた。
「ん…ん、ふ…ぁ…っんう、んう…っ」
口づけたままゆっくり下肢を揉みしだくと、やはり若いのか直ぐに反応が返ってくる。
足立はそれが愛しくて笑みを浮かべたのだが、蒼夜は赤くなってすいませんと眉尻を下げた。
「ん…なんで…ふ…謝るの…?」
「あ、ふ…ん、ん…っふ、だっ、て…ふぁ…俺だけ…気持ち良くなっちゃ…」
「ふふ…可愛いなぁ、蒼夜くん。君を見てるだけで…僕もこんなんだけどね」
蒼夜の手をとって自分のものに触れさせると、少年は真っ赤になって俯く。
それは反応を示していて、自分で欲情してくれるのかと思うと、蒼夜も堪らなくなっておずおずと尋ねた。
「あの…」
「ん?」
「透さんの…その…な、舐めて良いですか…」
「え…!」
「あ、う、い、いつも…その、して貰って…気持ち良い、から…」
「………うん」
じゃあ、お願いします。
足立がやんわりそう言えば、蒼夜は赤い顔でしかし笑みを浮かべる。
そして足立の前で膝を折ると、たどたどしい手つきで熱を取り出し、手に取った。
「あの…し、した事無いんで…上手く出来るか解らないんですけど…」
そう言いながら蒼夜は形の良い唇をちゅっと熱の先端に押し付けると、唇ではむはむと側面を蝕み、舌でぺとぺとと舐め上げた。
拙い愛撫だが、一生懸命な少年の顔を見るだけでぐっと熱が体積を増す。
蒼夜はその質量に少し戸惑ってから、しかし意を決した様に熱を口内に含めた。
「んむ…ん、ん、んふ…は、む…、んぅ…」
じゅ、じゅ、と音を立てて少年の口を熱が出入りする。
その背徳的な光景はそれだけで足立を煽り、駆り立てて、いつもよりずっと早く絶頂を迎えた。
「く…っは…蒼夜くん…出る…っ」
「ん…っ!んぷ…ぁ…っんん…っ!」
口内にぶわっと溢れた熱に堪らず身を引いた蒼夜は、そのせいで顔にびしゃびしゃと熱い白液を浴びてしまう。
顔や、飲み込めなくて口からもぼたぼたと落ちるそれを蒼夜は赤い顔で見遣った。
「…透さんの…熱い…」
「わ、わわ、ごめ…っ我慢出来なくて…っ」
「…気持ち良かったですか?」
「……うん、凄く」
「へへ」
えへらっと笑う蒼夜は、やらしい液に塗れていると言うのに無邪気な子供のようで。
足立は白液を拭ってやりながら笑み、ちゅっと口づけた。
「はは、苦いや」
「へへ」
二人くすくす笑い合って、また唇を重ねる。
足立は何度も口づけながら蒼夜の衣服を剥ぎ取ると、抱き上げてキッチン台に座らせた。
そして蒼夜の足を肩に担いで、あらわになった下肢に舌を這わし、レローっと蕾から熱の尖端まで舐め上げる。
蒼夜はゾクゾクするのか甘い吐息を吐いてぎゅっと目を閉じ、快感に堪えていた。
それが可愛くて足立はまた自身が反応してしまうのに苦笑しつつ、近くにあったハチミツを手に取る。
「我が家にハチミツがあるとは…」
「……?ケーキのスポンジに入れたやつ……ひゃ…っ」
足立がそのハチミツを蒼夜の下肢に垂らすと、周囲に甘い匂いが漂う。
冷たくぬるりとべたつく感触が、熱い下肢に絡み付き、蒼夜はひくりと身を縮めた。
足立は眉尻を下げながらハチミツを指に絡ませ、ぐちゅりと蕾を割開く。
内壁を擦りながら手応えを探すと、直ぐにそこに行き当たってこりこりと指で刺激した。
「ひぅ…っひゃ…あ…あは…っそ、こ…駄目…っあう…っ」
「此処も可愛がってあげる」
「や…っあ、あ、いた…っあ、はん…っ」
片手で器用に蒼夜の胸にハチミツを垂らした足立は、そのままぷくりと立ち上がる突起を舌先で弄る。
べたつく気持ち悪さと、それを遥かに上回る快感に蒼夜はあられもなく声を上げ、のけ反った。
しなやかな肢体は無駄の無い美しいラインで、足立は思わず生唾を飲み込んだ。
柔らかい凹凸の無い体なのに、どうしてこんなになまめかしく見え、欲情してしまうのだろう。
「蒼夜くん…ごめん、我慢出来ないや。入れる、ね…」
「…大丈夫…です…俺も足立さんが……欲しい」
「うん…行くよ」
「あ…あ、ひっあああ…っ」
ぷちゅりと尖端が蕾にくっつき、ズブズブと抵抗を捩伏せて突き進んでくる。
纏わり付く熱い肉壁は足立を奥へと誘う様にひくつくから、一気にズンッと奥まで突き上げた。
「ひ、くぅ…っ!はっは…っ」
「ちょっと…きついなやっぱ…ごめん、痛い?」
「だ……いじょぶ…だから…動いてくださ…い」
「でも…」
「奥が疼いて…変になりそ…なんです…」
可愛い恋人に真っ赤な顔と潤んだ瞳でそんな事を言われて、待てる訳が無い。
足立は熱に浮かされた様に蒼夜の腰を掴み、激しく律動を始める。
がたがたと回りのものが揺れて倒れたが、二人とも気にしている余裕が無かった。
「あっあっあっくあ…っん、あうっやっはん…っ」
「ふ…っ蒼夜く…っ当たってる…っ?イイトコ…っ」
「あ、あたって…る…っんや…っ強いぃ…っそんな突いちゃ…っおかしく、なるぅ…っ」
「い、いよ…っもっと、乱れ、て見せて…っ」
「あ、やあああ…っ!」
一際大きく突かれて蒼夜はびくびくと痙攣し、精を吐き出す。
しかし一気に脱力する蒼夜を今度は後ろ向きに台に押し付け、足立は少年の熱を擦りながら更にじゅぷじゅぷと中を刺激した。
「やっやっや…っも、だめ、だめ…ああう…っ」
「は…っく、は…っ」
しかし足立は擦る手を止めずに蒼夜を追い詰め、再び熱が張り詰めてくる。
内壁は更に敏感になって中の質量をきゅうきゅう締め付け、足立は絶頂を感じてぎりぎりまで奥へと突き入れた。
瞬間、びゅくっと飛び出した熱が中で広がり、蒼夜は悲鳴を上げて自らも熱を吐き出す。
ぐたりとキッチン台に縋り付く蒼夜の背中を足立はちゅっちゅっと啄んでゆっくりと熱を抜くと、途端ずるりと少年の体が床にへばり慌ててそれを受け止めた。
「ごめん、無理したね…」
「………料理…少し休んでからで良いです…か…?」
「はは、もう、君って子は…」
どれだけ可愛いのか。
足立は少年をぎゅっと抱きしめ、休んでからで全然構わないと告げてやる。
「一緒に、シャワー浴びちゃおうか」
「…はい」
へらっと笑った蒼夜を連れて足立はシャワーを浴び―何だかんだいちゃいちゃしていたから長風呂になってしまったが―二人で晩御飯作りを再開した。
無理させたからと手伝うのを申し出ると蒼夜も苦笑して頷き、少し遅目の夕食が何とか完成する。
それを二人で談笑しながら食べ、更に蒼夜からネクタイをプレゼントされて、甘く優しい時間が過ぎた。
しかし、そんな楽しい時間にも終わりは来る。
夜も遅くなってささやかなパーティーは閉幕し、二人抱き合いながら布団に入った。
「透さん…さっきも言ったけど…本当に、誕生日おめでとうございます…」
疲れたのかもう眠そうにしている蒼夜に苦笑しながら、足立は有難うと呟きその額に何度も口づける。
心地良さそうにしていた蒼夜は、やがてすーっと穏やかな寝息をたてて寝入ってしまった。
そのあどけない寝顔を愛おしげに眺めながら、足立は胸を満たす幸福感に笑みを浮かべる。
「…有難う、蒼夜くん」
今日だけでなく、出会ってから蒼夜がくれたもの全てが大切なプレゼント。
形のあるものだけじゃなく、表情も、仕種も、言葉も声も体温も、一緒にいた時間や、離れていた時間さえも、全て。
「君から僕へ、僕から君へ、繋がる全てのものが…大切なんだ」
今日は今までで1番幸福な誕生日。
しかしこれからまた、蒼夜と積み重ねたものが際限無く幸福として体内を巡り、年齢を重ねていくのだろう。
この熱が腕の中にある限り、そう信じれるから。
足立はきつく蒼夜を抱きしめ、深呼吸で肺を満たす様にその温もりを感じて、胸を満たした。
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