捧げ物
□無愛想な笑み
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ねぇ神田
いっつも無愛想で怒ってばかりでたまに殴られて痛いけど、
何かね、楽しいんだよ。
無愛想な笑み
最近良くボーッとするようになった私。
勿論答えは出てるんだ。
『あ、ぱっつん』
「あぁ゛?喧嘩売ってんのかテメェ」
『いやん、いかつい顔〜』
眉間に皺を寄せてこっちを睨む神田ユウ、同じこの黒の教団の"仲間"である。
そして同じ出身国、同じ年齢という共通点を言えばこうも出て来るのだ。
そんな彼をきっと私は好きなんだと思うんだけど、何がどう恋なのか良く分からない。
世に言う初恋という物なんだ。
「おい、お前今日任務か」
『あ〜?ないんじゃないですかー?つかまた蕎麦…』
「うるせぇ、お前こそ日本人なら洋食なんか口にすんな」
『は?洋食侮辱するんですか?それはつまり私に喧嘩売ってます?』
「フンッ」
毎日この調子なんだけれども、これはやはり恋じゃないんじゃない?とか思う。
けど、鍛練してるとこを見るとどーも心拍数が上がるというもので、知らず知らずのうちに口元がニヤけてるというのだから恋ではないという否定も肯定もできない。
だってほら、たまに見せるんだよ。
「お前と話してると飽きねぇな」
『へ?』
「オイ、阿呆面」
『死ね!』
「フンッ」
余裕を装った笑み。
いつも無表情で、表情があっても怒ってる顔ぐらい。
なのに、私と話してるときにたまに見せてくれるの。
『っ、、あ、後で鍛練付き合えバカヤロウー!』
「……まぁ、任務で死なれても困るから付き合ってやるよ」
『ありがとう!』
「チッ」
"死なれたら困る"
意味なんか勝手に解釈してしまえば、これほど嬉しい事はないかもしれない。
でもさ、私が危険なときに、いつも神田が助けてくれるよね?
勝手な解釈じゃないって、少しは思ってもいいかな。
無愛想でぱっつん、そんな貴方に、確実に私は惹かれてるの。
無愛想な笑み
(お前は知らないだろうな、鍛練で女はお前以外受付てねぇって。)
(あ、ぷりん食べようかな。)