今日の兄さん(2014年)

□12月9日
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注意:どこかで書いたような書いてないような話ですが、心新たに真っ白な気持ちで読んでください☆



仕事をしていない時のエドワードは、高校生としては割と真面目だと自分では思っている。モデル稼業はともかく、極々普通の高校生だと。
「おはよー!」
モデルをしていても、仕事で遅刻はしない。早退ももちろん。それが父親に請われてモデルを始めた、エドワードが提示した条件だった。
「おはよう!待ってたんだぜ、エド!」
教室の隅でワイワイ固まってた奴らが、一斉にエドワードを見た。しかもなぜか、皆そろって非常に笑顔だ。
「…んだよ…おまえら、気持ち悪いぞ」
「いやあ…これ見ててさー」
「それっ!」
その雑誌には見覚えがある。というか、エドワードの仕事先でもある。
もちろん、クラスの皆は、いやクラスどころか学校全体で、エドワードが女装モデルをしていることは知られている。そのティーンズ雑誌の常連だということも、周知されている。
問題はそこじゃない。
「それ!見るなっ!」
「なんでだよ?」
「恥ずかしいんだよ!」
「今さらだろ?エディちゃん、相変わらず可愛い、俺たちの天使だぜ」
こうしてエドワードの載っている雑誌を、エドワードと見ることもしょっちゅうやっているのに、今日に限って真っ赤になったことに、クラス中の皆が首を傾げた。
「ミニスカサンタ、可愛いわー」
「肌白いから、赤が似合うんだよな」
「こんな彼女、どっかにいないかなー!」
本人を前にしても、遠慮などない。
そんなことも、いつものことだ。
「何、おまえ、ミニスカが恥ずかしいとか?」
「うっ…」
いよいよ首まで赤くするエドワードに、ますますクラス中の皆の疑問が増す。
エドワードは、友人同士で賭けたとはいえ、学校に女子用制服のスカート姿で登校もしたことがある強者だ。それが、今さら何故ミニスカで恥ずかしがるのか。
「だって…サンタでミニスカなんて…なんか…」
「え、いや…可愛いけど…」
改めて、雑誌のページを見直す。
可愛い。いつもの可愛いエディちゃんだ。女子の憧れ、男子の恋人にしたいナンバー1。
「サンタなんて、初めてだったし…とにかく恥ずかしかったんだよ!」
なるほど。そう言われて見れば、エディちゃん、なんとなく頬が赤いような?でも、そんなのメイクでなんとでもなるだろうし。なんとなく雰囲気違うのが、また可愛い。
「照れてるのか?」
「悪かったな!恥ずかしかったんだよ!」



どんな服でも、一番可愛く着こなすのがエドワードのプライドだった。そのために、日々の顔や体のケアも欠かさない。体の筋肉のつき方までコントロールして、女子に見えるようにしている。これだけ人気を取って成功しているのは、エドワードの努力の賜物だ。
しかし、このミニスカサンタは違った。一緒に撮影していたアルフォンスまでが首を傾げるほど、エドワードは照れまくってしまったのだ。
それでもまあ、モジモジしているのも初々しいし、ティーンとしてはオッケーなので、そのまま撮影して雑誌掲載になってしまった。



「もうオレ絶対サンタ服なんか着ない!」
「えー、可愛いからいいじゃん。俺たちのエディちゃんを奪うなよ」
「やだ、絶対ヤダ!」
断固拒否なエドワードを前に、クラスの皆はなす術もなく、ため息をついたのだった。



終わり。

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