今日の兄さん(2011年)
□12月7日
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『新婚旅行の夜』
「大丈夫だよ。こんな部屋の中まで、見えないから」
そんなアルフォンスの言葉を、否定する気も拒絶する気もさらさら無かった。
自分はどこか歪んだ性癖だと自覚しているエドワードは、オフィスでアルフォンスとするのも好きだった。見られたら身の破滅だと思うと、一層燃えてしまう。
旅先で滞在した一夜の宿で、思い出を作るのも悪くない。
「あっ、ああっ…あ、はあ…」
熱を持ち、いまにも弾けそうなエドワードの華芯は、アルフォンスによって冷たい窓ガラスにぎゅうぎゅう押し付けられている。吐く吐息のせいもあるのか、結露した水滴と自身から溢れ出したものが混ざって、窓ガラスに線になって流れていた。
真っ黒な海の遠くに見える僅かな光は、宙に浮いているような錯覚さえ起きる。
「あ、あぁ…」
「良さそうだね…?」
「ああ…サイコー…」
抱き込まれるように後ろから太く固い肉楔で貫かれた体は、体内に侵入したものを遠慮なく喰らって味わい、襞の一つ一つがその形に絡みつく。
「ふふ…きっと外からだったら、いい眺めだよね」
ひょいと片足を持ち上げられて、すがっていた窓から体が離れた。アルフォンスに寄りかかれば、いっぱいまで伸ばされ侵されている秘門が正面に晒される。
もしこの部屋が最上階でなかったら、部屋に灯りをつけていたら、他人が眉を顰めるくらいあられもない淫らな姿だろう。
そう想像するだけで、エドワードの肉輪が蠢いた。
「兄さん…」
胸元の尖りに爪を立てられ、嬌声を上げて身じろぎする。
突き上げてくるアルフォンスも、いつもより興奮してるのだろう。執拗に責めてくる腰の動きが、容赦ない。
「手を…窓につけて…そう…」
「はっ…あ、んっ…」
出る声は甘く、荒い息の中、首を捻ってアルフォンスの唇を求める。
「んっ…」
息苦しい。けれど、最高だ。
じゅぷ…と、大きく開かれた脚の奥で音がした。片足は持たれたままだから、余計に大きな音になるのかもしれない。
「うっ、ひっ、あっ、ああっ!あっ!ああっ!」
激しく注挿をしながら、アルフォンスの手がエドワードの華芯を擦った。
「アルッ、あぁっ、あっ!」
華芯の先端を、固いガラスにグリグリと押し付けられた。エドワードの蜜が窓に付着していく。
「ああっ、いいっ!ア、ルッ!」
「兄さ…っ」
「イク、イッちゃ…ああぁぁぁ――っ!!!!」
「くっ…」
アルフォンスの手の中で達したエドワードが、ドクッドクッと脈打って白濁の欲液が放たれた。
外に向かって無防備に解放するような様は、なんて淫猥なことか。窓ガラスに遮られ、透明な壁から流れて落ちる。
肉襞に思いっきり絞られたアルフォンスも、最後の一滴まで絞り出す。
「あ…は、ぁ…」
アルフォンスが体内から出ていくと、脚を解放されても、腰から崩れ落ちそうだ。
「アル…」
唇を重ねる。口腔内まで、弟に侵される背徳の喜びに歓喜した。
どうせ新婚旅行なのだ。
「なあ…もう一回…」
「…もちろんだよ、兄さん」
これから来るであろう愉悦の時を思い、震えるエドワードの内股から、一筋の名残りが伝って落ちた。
end