今日の兄さん（2011年）
□12月１日
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『指輪』
「指輪は女の子のアコガレですよ〜」
仕事場で珍しくピラウがそんなこと言うもんだから、
「そんな、たかが金属片にアコガレるなよ〜」
って言ったら、睨まれた。
家に帰って、アルフォンスに話したら、
「それは兄さんが悪いよ」
と、笑われた。
「なんでだよ。だって、金属と、足したって石の装飾品だろ？そんなものより、いつも好きな人と一緒のほうがいい」
「そうだけどさ。そうそう一緒にはいられないし。指輪に込められた想いと一緒にいるんだよ」
アルフォンスのほうが、オレよりずっと女心を理解している。この器用な弟は、オレのことさえいとも簡単に言いくるめてしまう。
「兄さんも、つけてみれば？」
「いらねえ」
「僕からのプレゼントでも？」
「いらねえよ」
オレの機械鎧には、昔のおまえが一緒だろ？
そう言ったら、アルフォンスはこれ以上ないくらい顔を赤らめ、オレはやっと自分がとんでもなく恥ずかしい言葉を言ってしまったと理解した。
end