青と金のキセキ2

□青金2 2
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「…しかし君は、見事なくらいトラブルを引き寄せるな。小さいトラブル大きなトラブル24時間引き受けます、か?こうなってくると、あとは銀行強盗くらいだな。それも時間の問題という気がするよ」
「…てめえ、ケンカ売ってるのかよ!?」







 まるでどこかの水道工事事業所みたいに言われた。しかし、付き合いもかれこれ10年を越えるロイの言葉には、何かと説得力があった。今朝軍部でした会話を思い出して、エドワードは顔をしかめる。
「オレが悪いんじゃねえ…」
 しかし、両手を後ろ手に縛られている今では説得力がイマイチかもしれない。
 ロイの嘲笑する顔が目に浮かぶようだ。
 昼休み、エドワードは久しぶりに行きつけのカフェにでも行くかと、ついでに財布の中身を補充しようと銀行に寄ったのが運のつき。金がまったく無かったわけじゃないんだから、なんでカフェ寄った後にしなかったんだろうと、後に悔いるから後悔というのは身に染みてわかっているが、せずにいられないのが後悔だ。
「はあ……」
「おいっ!動くんじゃねえ!」
 動いてねえだろバーカ、と声には出さないで目の前のバカを睨むだけに留める。
 こんな風に、トラブルに慣れた自分も情けない。
 金を出せだの早くしろだの、お決まりの展開を繰り広げられているこの状況に、エドワードの口からは再度ため息が零れた。
 どうせ、じきに軍がやってくるだろう。またあいつにイヤミ言われながら調書取られるのかと思うと、切なくて涙が出そうだ。解放されたらとりあえずその原因を作りやがったこいつらを殴ろうと思っていた。
 神サマお願いします、どうかあいつが現場にノコノコ来ませんように、って将軍職なんだから来るんじゃねえよ頼むからと思考をめぐらすが、そんな細やかな願いだって神サマとやらは聞き届けてくれないってことも、幼少時代から嫌というくらい味わってきた。
「もう、本当にさあ…」
 このトラブル引き付け癖を、治してくれる医者はいないもんだろうか。国中、いやシンにも問い合わせてみれば、一人くらいはそんな神業を持った名医がいるかもしれない。エドワードの心情も、切羽詰まったものだった。
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