青と金のキセキ3
□1Day
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初夏の日差しで風が吹くと、太陽に照らされて立ち上った草や花の香りが、洗濯物にほのかに移る。雨の多い季節だからこその、ささやかな太陽からの恩恵だろうか。
エドワードたちも、アルフォンスが錬金術で乾かすことが出来るといっても、外で自然乾燥させるのが好きだった。
「やれやれ。やっと全部干せたか」
洗濯洗剤の香りが、いっぱいに広がって気持ちいい。
ほぼ一日置きにシーツを洗うエドワードたちには、休日に晴れるのは貴重で有り難かった。同時に、普通の家庭では何日ごとに変えるのか?と疑問に思う。
「終わった?兄さん」
窓からアルフォンスが顔を覗かせた。
「うん。全部干せたぜ」
「そう。お疲れ様。ちょうど出来たよ」
「そうか」
エドワードが洗濯している間に、アルフォンスがリクエストされた昼食を作っていた。二人して最近ハマっているロールパンのサンドイッチは、キュウリとハムが挟まっているシンプルなものだが、パンは朝焼いたばかりのだし、キュウリもさっき採りたてをいただいたばかりのものだ。
「ポテトサラダも作ったよ。もちろんキュウリも入れて、あとチーズも入れた」
「なんかすごく健康的な感じ」
玄関から自宅に入ろうとしたら、エドワードの見知った男がやってくるのが見えた。
「よう、エドワード!」
「サウザ。なんだよ、突然」
同期で医者仲間のサウザがエドワードの自宅を訪ねることは、実はめったにない。
「サラがな、おまえのとこにフルーツ持っていけってな。サラの実家から送ってきたんだ!」
大きな紙袋をエドワードに渡す。
底が抜けないかと思うくらい、ずっしりと重かった。
「おまえのとこも、フルーツとか食わなさそうだからな!男なんてそんなもんだと言ったら、持っていけと押し付けられた」
「サンキュー。でもオレたち、けっこうフルーツは好きなんで食べてるぞ」
「なんだ俺だけか、フルーツ不足なのは」
ひょいと肩をすくめる仕草も、なぜかサウザには似合っていた。
「んじゃあな!」
「帰るのか?」
「野暮なこと聞くな。サラが待ってるんだ」
「ちゃんと渡したか確認されるんだろ?」
ニヤリと笑ったエドワードに、豪快な笑いで返す。
「はははっ!当たりだぞ、エドワード!どうやら女って生き物は、ずいぶん用心深いらしい」
「サウザ限定じゃねえの?」
「そうかもな!」
二人で吹き出した。