青と金のキセキ

□ハートキャッチ!ナース!
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 怒涛とも言える軍部内集団ワクチン接種が終わった翌日、エドワードたちがいる医務室は取りこぼしていた軍人たちにも無事にワクチン接種し、ようやく寛いでいた。
 この医務室の主である若い軍医が、なかなかの甘いもの好きなせいで、午後の休憩時にはお茶とお菓子が付き物になっていた。本日のちょっと遅めのオヤツはエドワードが持ってきたレモンパイだ。先ほどまで、注射用薬液と一緒に冷蔵庫に入っていた。ヒンヤリさっぱりデザートは、この季節とても美味しい。
「先生が作ったの?」
 切り分けたレモンパイをもぐもぐ食べながら、香りの良いお茶を楽しむ。ほんわかしたピラウがエドワードに聞いた。
「オレじゃねえよ。職場に持ってっていいよって、家で食べる分とは別に、ここ用に作ってくれたんだ」
「ふーん。恋人?」
「え…あ…」
 いきなりストレートに言われて、真っ赤になっていくエドワードを、二人のナースはほのぼのした気持ちで見ていた。
「先生、恋人いるんだよね?」
「う、うん…なんでわかった?」
 まさか、先日ぶっ倒れたときに腹に散りばめられた大胆なキスマーク見ました、とはこの場合言えない。なんとなく。
「先生の雰囲気で。なんとなくですけど、いらっしゃるみたいだったから」
 トリアが助け船を出した。
「え、そっか〜?オレ、そんな顔してたかな?」
 照れて笑う顔も可愛いなあと、トリアとピラウは妹か弟を見ているような気分だ。そこらへんの女の子よりずっとキレイで可愛いこの上司を、二人のナースはとても気に入っていた。
 そりゃあ最初に人事を聞いたときは、若すぎる年齢に不安を覚えた。元国家錬金術師ということはとりあえず置いといても、どこかの司令官のように女とみれば口説くのが礼儀としてるチャラいヤツだったら、遠慮なく追い出してやろうと思っていた。鋼の錬金術師の武勇伝も多少聞いていたから、あんまりヤンチャだったらピシッと躾ようとか。しかし、赴任されて一緒に仕事するようになって、大まかな性格だが、仕事に対してはとても素直で真面目で有能な医師だと分かった。
 なにより可愛い。女の自分たちから見ても、本当に美人で、目の保養だ。やはり毎日一緒に働くなら、そういうところも大事な福利厚生だと思う。
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