青と金のキセキ

□青と金のキセキ2.5
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 アルフォンスが残りの仕事を片付けて再び医務室へ戻った時、エドワードは盛大に膨れっ面して怒りを露にしていた。
「兄さん…すごい顔だよ…」
「うるせー!誰のせいだよ!」
 そんな怒った顔をしてるくせに、うっすらと涙を浮かべてられては、アルフォンスも全面降伏するしかない。
「ごめんね、兄さん。僕が悪かった。悪ふざけ過ぎたね」
「知らねー!もうオレは帰るんだから!」
 カーテンも閉めて、電気も消されている医務室で、エドワードの金髪だけが光を放つように輝いている。
「そんなこと言わないで」
 ソッポを向いているのを振り向かせ細いアゴをすくい、カタチの良い唇に唇を重ねる。
 頑固に開けない唇を舌でなぞって許しを請う。やがておずおずと薄く開かれ、隙間から己れの舌先を捩じ込んだ。
 頬の内側や舌の付け根など、口腔内を存分に味わう。絡めてきた小さな舌先を吸ったり、軽く噛んだりしていると、やがてエドワードの体から力が抜けて、アルフォンスの腕にすがる体制になる。崩れ落ちないように、アルフォンスも兄の細い腰をしっかりと抱えた。
「まだシャツ着てなかったの?」
「もう、今さら、だろ?」
 アルフォンスの右手を取って、自分の胸に導く。淫魔のように微笑みながらのその仕草は、娼婦のそれで、おまけに腰まで押し付けてくる小悪魔ぷり。
「兄さん、家に帰って…」
「やだ。もう待てねえ」
「はぁ…そうやって、僕の理性を試してるの?」
「イヤなら、拒めよ」
 アルフォンスの首に腕を絡めて、頬を寄せる。幸せそうに、口付けする。
「そうしたら…オレは諦めるよ、アル…アルフォンス」
 アルフォンスは目を閉じて息を吐いてから、兄を再び抱き締めた。ぬくもりを、宝物を守る子供のように。
「イヤなわけ、ないでしょ。せっかく、ガマンしてたのに…」
「ガマンなんてする必要ねえだろ?ここは、オレたち二人しかいない。ここは、オレの部屋だ。オレの城だ。オレの許可無しでは、誰も入ってこれない」
 スッと膝をつくと、エドワードは目の前の股間のファスナーを下ろした。静かな空間に、金属が摺り合う音が響く。アルフォンスのそれは、熱量と質量を伴って、下着の布地を押しやり存在を主張していた。
「なんだ…もう、こんなじゃん」
「そりゃ、そうだよ。こんな状況で勃たないほど、僕は枯れてないし、若い男だもん」
 下着の上から肉の弾力を確かめるように、唇を押し付けられて、アルフォンスの息が詰まった。根元のあたりから柔らかく食むようにカタチをなぞられ、先端の辺りを何度も柔らかな唇で揉まれる。
 エドワードの唾液とアルフォンスの先走りの欲液で、布地が徐々に色を変えていった。
 大きく固く熱くなっていくそれを、エドワードにうっとりと愛撫され、込み上げてくる射精感とアルフォンスは戦うハメになる。
 焦らされているような、優しい愛撫はこの際拷問に等しい。
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