負けないぞ!祭り

□萌え昆布
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一緒に「負けないぞ!祭り」してくれてる渡里さん(Pearl Moon)から、1ページ目をいただきました。
2ページ目からは珠の作文です。
 
 
 


最近、セントラルではある現象が起きている。
それは国家錬金術師の写真を、食料品のパッケージに使う事だ。有名な錬金術師になればなる程、商品が売れる。そうなると各社も錬金術師の獲得に躍起になるという訳だ。

「……って、何だこれーっ!? 」

そんな中、エドワードにも撮影の依頼が来た。
しかし事前説明も無く、半ば無理矢理連れて来られ、着替えさせられたエドワードはスタジオで絶叫した。
「何って、パッケージ用の衣装だよ兄さん。東国の海の男の衣装なんだって」
にこにこ、にこにこ。
笑顔で弟のアルフォンスが説明するのに、今一度自分の格好に目を落とす。言われてみると袖の広い上着や腹に巻かれた布は、リンの服に似ている。むしろ、真っ赤だったり背中に波の絵が描かれているのは自分好みだ――だが、しかし。
「もう、何が気に食わないの?」
「そんなの……この妙な葉っぱに決まってるだろうがっ!」
弟からの問い掛けに、エドワードはビシッと自分の下腹部を指差した。
黒に見えるくらいに深い緑。塩のような匂いのする、その固い植物は今、エドワードの股間に巻き付けられている。しかも、妙な巻き方をしているせいでお尻はほぼ丸見えだ。一体、何の嫌がらせだと言うのか。
羞恥に我知らず涙ぐみながらも、アルフォンスを睨み付ける。しかし、弟はまるで動じない。相変わらずの笑顔で、いっそ爽やかに説明してくれる。
「それは『昆布』って言う海藻だよ。出汁にも良いし、食べると髪の毛もフサフサになるんだって。アメストリスの『とある部分が寂しくて困ってる男性』の希望の星なんだ」
「って、食い物を何でこんなっ!?」
「ただの写真はもう古いよ兄さん。時代は萌えを求めてるんだ!」
力説と共に、アルフォンスは昆布の束をエドワードに持たせた。そして笑顔で後へと下がり、どこからか取り出したカメラを構えた。
「兄さん! その昆布を手にはい、笑って!」
「って、お前が撮るのかよーっ!?」
……次の瞬間、エドワードの切なる叫びが虚しくスタジオに響き渡った。
エドワードの写真をパッケージにした『萌え昆布』は即座に完売となり、入手困難な状況となった。
その後、エドワードの魅力に目を付けた企業が『萌え米』や『萌え麺』を開発する事を――連日、売り切れた筈なのに食卓に上がる昆布を泣く泣く食べているエドワードは、知る由も無かった。
 
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