夜想う曲―ノクターンを君に ―

□邂逅(カイコウ)
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 まだ朝だというのに、日差しが眩しい。
 今日も暑くなる一日だと、天気予報が伝えていた。
 窓辺からのジリジリと肌を刺すような日差しに、アルフォンスは舌打ちする。
 夜になれば、少しは涼しいのだろうかと、朝からせんないことを考える。友人たちの嘲笑が聞こえてくるようだ。
 実際、雨が降ろうと夜になろうと、暑いんだから仕方ない。
 ため息を一つついて、アパートの部屋を出ると、むっとする空気に不快感が増した。
 この春めでたく大学に受かったアルフォンスは、こちらの夏がこんなに暑いとは思わなかった。
 慌ただしい新生活で気持ちいい陽気と感じられるようになったのは、つい最近のことだ。それがあれよあれよという間に、真夏日と言われるシャレにならない気温が続くようになった。
「暑いんだよね…実際さあ…」
 良いのは、洗濯物がすぐ乾くことだけか。
 アスファルトだから余計に暑く感じる道を、重い足取りで歩いていった。
 幸いなことに、ここから大学までは徒歩で行ける。
「自転車、買おうかな…」
 そんな他愛もないことを呟いたとき、どこからかすいっと吹いた涼しい風が、頬を掠めたような気がした。
「……あれ?」
 周りをキョロキョロ見渡すが、周りに店はないし、道端にエアコンの風があるわけもない。
「…気のせいか」
 ふと見た時計が、いつもより遅めの時間を表示していた。
「わ…」
 足を早めて、大学に向かう。
 ザワリと木が鳴った。
 もう少し時間に余裕があったなら、アルフォンスは見つけられたかもしれない。
 走るように急ぐアルフォンスを、高い木の梢から見てる影に。
「やっと…見つけた」

―― やっと見つけた

 金の瞳に柔らかい笑みを浮かべると、次の瞬間には霧のように姿を消していた。


―ヤット 見ツケタ…







オレの……







 
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