青と金のキセキ

□ハートキャッチ!ナース!
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 とりあえず今は恋人同士だということに、ホッとする。
 最初は、悪い女に騙されちゃタイヘンとか思っていたが、そんな以前から想い合っていたなら、それはもうゴールインすなわち結婚を祈るしかない。
「今は、ラブラブなんだよね〜?」
「うん。その…すっごく好きで……ぁぃしてる…」
 カアッと一気に赤くなったエドワードを、見ちゃった海千山千の看護師二人も、つられて赤くなってしまった。
 とりあえず、手元のお茶に救いを求めた。ちょっと冷めてしまったけど、それでも美味しい。さすがに紅茶通なピラウの選択だ。
 なんとなく気まずいような擽ったいような甘酸っぱい空気が、医務室に流れていた。
「えーと…先生、明日非番ですよね?」
「もしかしてデートとか?」
「え、う、ぅん…」
 これ以上突っ込むと、大事な軍医がまた倒れて、使用不可能になりそうだ。そろそろこの話題も切り上げてあげよう。なかなか、こちらまでホッコリするような恋愛話だった。良いことが聞けた。
「失礼します。兄さん、まだ終わらないのかな?」
 医務室の扉をノックされたので応じると、かの軍医の弟が入室してきた。
「あ、そんな時間?やっべー、ちょっと…1時間くらい待っててくれるか?」
「じゃあ、僕髪切ってくるから、いつものカフェで待ち合わせしようよ」
「わかった。ごめんな〜」
 話に夢中で、つい時間を見て無かった三人はバタバタと残りの仕事や片付けを始めた。
「それにしても、エルリック少佐。髪切りに行くって、案外明日あたりデートだったりして」
「よくわかりましたね。ええ、明日非番なのでデートなんですよ」
 ナース二人の手がピタリと止まる。
 デート?
 兄弟揃って非番で、兄弟同じ日にデート。
 まさか…とは思ったが、先ほどエドワードから聞いた「可愛い系」「短い金髪」「一歳下」「しっかりしてて頭が良い」「優しい」のほとんどが当てはまる。しかし、その唯一当てはまらないのが「可愛い系」。
 つい、ピラウとトリアはアルフォンスを凝視してしまう。
「?何か僕に?」
「いえ、失礼しました」
 まさかね。だって、どこをどう見ても、精悍な男らしい顔立ちは「可愛い系」とは言えない。
「じゃあ、兄さん、また」
「ああ」
 どこかすっきりしない気持ちは残るが、目前の片付けに専念することで忘れようと思う看護師二人だった。


end
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