青と金のキセキ

□熱帯夜
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 暑い夜だった。
 先ほど少し降った雨は、大気を冷やすどころか、余計に湿度を高める結果になった。
 じめじめと暑い空気が不快だ。ちょっと動いただけでも、水気を含んだ重い空気は手足に絡みついて汗に変わる。
「暑い……」
 誰に言うともなしに、エドワードは呟いた。シャワーを浴びたばかりなのに、もう肌がベタベタしているような気がする。
「あれ、兄さん。まだそんな恰好してるの?」
 風呂場から出たままのバスローブ姿のエドワードは、刺激的だとアルフォンスは目を細めた。
 やはりシャワーを浴びてきたアルフォンスは、バスローブ姿で片手にはアイスコーヒーのグラスを持っている。
「だって…アチィんだもんよ」
「たしかに」
 左足の機械鎧から熱が逃げなくて、兄は自分より不快だろうなと思う。
 それなのに、隣に座ったアルフォンスを、強請るようにうっとりと見上げてきた。
 ベッドが二人分の重さを受けて、ギシリと鈍い音をたてる。
 アイスコーヒーをこぼさないように、唇に触れるだけのキスをして、グラスをサイドテーブルに置く。
「どうしたの? そんな顔、珍しいね…」
「…オレだって、たまには…」
 発情した猫のような大きな金の目を見ていると、アルフォンスの体温も上がっていくような気がした。
 見ているだけのアルフォンスに焦れたのか、エドワードの腕がアルフォンスを引き寄せて唇を重ね舌を差し入れてくる。おずおずと拙い動きをするそれは、アルフォンスの舌に絡んできた。
「…んっ……んで、何にもしないんだよ?」
「兄さんが、どうするかなって思って」
 楽しそうにクスクス笑って、エドワードを抱きしめた。
「…んだよ」
「たまには、いいじゃない。兄さんが好きなようにして?」
「…っ…」
 赤くなって、顔を隠すように俯く。
 しかし、体を離し、ベッドに膝まづいて、アルフォンスのバスローブの裾を割って開いた。
 弟のそれは何度も受け入れているけれど、こうして何度見ても羞恥が込み上げてくる。
「熱い…」
 そっと手に取ると、ダイレクトに熱を感じて目眩がする。脈打つそこは、欲に膨らみかけていて、ゆっくり裏側を擦ると勃ち上がってきた。

 欲しい、と思った。

 自分は今、とてつもなくいやらしい顔をしてるだろう。舌舐めずりするような、欲に溺れた本能丸出しな表情は、弟はどう思っているだろう。
 躊躇いもなく、まだ幾分柔らかいその肉塊を、口に含んだ。
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