ろいえど


□桃ノ花ビラ
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桃ノ花ビラ 1.






小高い丘の上の、1本の桃の木。
その木の下に、オレは来ていた。

「ロイ…まだかなぁ…」

もうすぐ春が来るようで、今日はずいぶん暖かい。
ちょうどあの日…
ロイと出逢った日も、こんな暖かい日だったと思う。
ゆらゆらと降りそそぐ花びらが、あの頃の記憶をつれてくる。
思い出すこともなかった思い出を、今更オレに届ける。

「すまない、遅くなった…」
「ロイっ!」
「だいぶ待ったか?」
「もう…待ちくたびれたよっ」

冗談混じりに言って、笑う。
ロイも笑い、すぐ真面目な顔になって。

「…待っててくれて、ありがとう…」
「な、なんだよ急に…」
「…無性に言いたくなって」

なんだソレ。
あんたらしくなくない?

「ここはオレたちの…オレたちだけの、待ち合わせ場所だろ?」
「エド…」
「そ、それに…たとえあんたがすっぽかしても、オレはずっと待ってるし」
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