ろいえど
□桃ノ花ビラ-from that day- 連載中
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小高い丘の、1本の桃の木。
あの日から毎日のように、俺は此処へ来ていた。
此処に来れば、ロイに逢っていたあの頃に戻れる気がするから。
此処に来れば、あの頃のようにロイを待っている気になれるから。
…それがどんなに愚かなことかわかっていても、此処へ来る足を止めることはしなかった。
そう、自分の意思で、此処に来ていた。
「ロイ…何してるかな」
あの日から約1ヶ月がたって、、桃の花は全部散ってしまっていた。
季節は、春から初夏に変わろうとしている。
「早く梅雨入りしねーかな」
あの人が、無能になるから。
…‘レイラさん’とはうまくいっているのだろうか。
あの蕩けるような笑顔で彼女の名を呼ぶのだろうか。
…まあ、オレが心配しなくても、すべて上手くやってのけるんだろうけど。
「ロイぃ…何、してんの…?」
声が震える。
いつの間にか、涙が溢れて頬を濡らす。
「元気に…してる、かな…っ」
まだ、こんなに想ってる。
あの時強がってあんなことを言ったけど、実際ムリもいいトコだ。
忘れるなんてできっこない…
「私は元気だが?」