僕の歩く道

□プロローグ
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「はぁ、はぁ・・・」


月明かりだけが照らす町の中を、中年の男が走りまわっていた


時々後ろを振り返り、何度も転びそうになりながらも懸命に駆け抜ける






『クスクス・・僕からは逃げられないよ、絶対に・・・』


屋根の上を優雅に飛び回りながら、楽しそうに男を追うワンピースとジャケット姿の少女


少女は男が走る道の先を目で追う



(捕まえた、)

少女はクルリと屋根の上から、男が走って行って道に降り立った




―…トンッ



軽い音を立てて着地すると、ジャケットの内ポケットから黒光する拳銃を取りだし道の先に真っ直ぐ構えた



男がまた戻ってくると知っているように、真っ直ぐ構えたまま前だけを見据えている



その少女の瞳は光など宿してはいなかった

氷のように冷たい



「はぁ、はぁ・・・」


道の奥から人の荒い息使いが聞こえてくる

(来た・・・)


少女は闇に目を細めた


足音が段々近付いる



『ねぇ、行き止まりだったでしょう?』


「ヒッ!!」



男は少女と拳銃を交互に見ると、腰を抜かし後ろに倒れた



少女はゆっくりと男に近付く


「やめろっ!たっ助けてくれ、やめろっ!!」


少女の動きに伴い、男もジリジリと後退した



『もぅ眠いから、早く終わらせようか』


「たっ助けてくれ!!」

『だぁめ』


少女は男の前にしゃがみ込んだ


「ヒィッ!!!」

―…カチャ


少女は男の額に拳銃を押し当てた


『Buonanotte.』








―…パァァン!!


乾いた音が平和な町に響く




―…ビシャ!!


周りには多量の鮮血が飛び散り、少女も真っ赤に染まった



少女は男の首筋に指を置き、脈を調べる


(任務終了、)



拳銃をポケットに納め、顔についた返り血を拭い取り、少女は立ち上がった



少女は男の死体を引きずり始めた


赤い線がずっと続く


ズッズッと不気味な音を立て、少女が男の死体を引きずって行く





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