文 短編
□プロローグ
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美星学園の航空科に入学したアルトは、朝から嫌な気分を味わっていた。
今までもよくあった事だが、髪が長いということだけで女に間違えられる。この世にロンゲの男など腐る程いるだろうに…そいつらが全員女に間違えられる訳がない。
今は、制服を着ているわけだからわかるだろう…と言いたいのだが、、既に何人かに芸能科で男装してる女の子…と噂しているのが耳に入ったからだ。もちろんそれは、訂正したのだが…そんな変な情報流されたら後が面倒だ。
それだけでも億劫であったのに、それに追い打ちをかけた奴がいた。
ミハエル・ブラン。ゼントラーディーだということと女タラシってのは、すぐに分かった。なんせ朝から女にしか声をかけていなかったからだ。
そいつが、俺に近づいてくるのが見えた。
「君、綺麗だね。早乙女さん?向こうでも君の噂してる子がいたよ。シャンプー何使ってるの?サラサラで君によく似合ってるよ。ねぇ、よかったら帰りに遊びに行かない??」
よくしゃべる男だ…アルトは、けだるげに机に肘をついてその上に顎を乗せだるそうに奴を見上げた。
「………ん?!お前!!」
「…えっ?!な!!!」
一瞬だった。それまでの甘い表情が消えた瞬間、アルトの襟首を掴み力いっぱい引っ張られ立ち上がったアルトの…あろうことか、股間を握ったのだ!!
「お前…ホントに男なのっ…!!」
言い終わる前にアルトの右フックが炸裂した。
なんなんだよ!コイツは!いきなり…掴んできやがって!!
「俺は男だ!!間違えんじゃねーよ。」
思うに、これが出会いだった。これが、始まり。
ミシェル。ミハエル・ブランとの初対峙。
この時はまだ知らない。
これからのお話…しかしこの時から始まった。
歯車は噛み合い、ギシギシ音を立てて動き出す。
運命と言う名の歯車が二人を人々を巻き込み動き出す。
運命…それは、幸福への?
それとも…悲しみの?
誰もしらない。
さぁ、始まりの歌が響く。。