SONG NOVEL

□サウダージ
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私は私の運命からは
離れられない


何故なら私は
人魚姫…


いつかまた逢いましょ?


その日までサヨナラ


私の恋心…





《いつまでも…一緒に》




そんな嘘をつくぐらいなら
もぅ何も話してくれなくていぃ
あたしに構わないで
そのまま背を向けて行って…



どうせあなたは去っていく…
それだけはわかってるの



あの満月の夜の海


あなたと見つめあった私は
とてもかわいい女とは言えなかったね


だからせめて今だけ…最期だけは
笑顔でいさせて…




悲しみを溶かして
溢れ出すものが
《涙》だと言うなら


その滴ももう一度
飲みほすわ…


そうすれば
凜とした痛みが
この胸に留まって
あなたを一生忘れずに
いられると思うから…






ねぇ許して
私の恋心
自分の心に嘘をついたことを



私は人魚で、あなたは人間


あの海で見た
夢のような甘いひと時は


一瞬にして
波にさらわれてしまった…



あなたと出逢ってからの私は
時を重ねるごとに
ひとつずつあなたを
知っていって
ひとつずつあなたが
わからなくなった



そんなことを
繰り返していくうちに
愛が消えていって

それはまさに
夕日が海に沈むようで…




私の精一杯の気持ちを
紡いだ言葉までも


私の不安によって
ただの嫌みになってしまうなら


私は海の底で眠る
貝になりたい



誰にも邪魔をされずに
ひっそりとあなたを
思い続ける…



諦めて
私の恋心


もう私を苦しめないで…



この心のどこかにある
青い期待が
結局は私の事を
切り裂いてしまうの…



それでもいぃ…



それでもいいから



寂しい…



大丈夫…



でも寂しい




人魚の間で
繰り返し話される
人魚と人間のよくある話

男女の禁断の愛

出逢いと別れ

涙と笑顔

好きと嫌い



まるで私と貴方のよう…




あなたの傍にいる時は
《永遠》を確かに感じた



私達は星に見守られ
この光り輝く
夜空を焦がしながら
精一杯生きた



今私は貴方から身をひく
泡になって
消えてゆくの…


このまま離れても
この恋心に
締め付けられるだけだから…



許してね
私の恋心…


何もかも泡になって
波の中に消えてゆく…


いつかまた逢いましょ?
今度あう時は
人間になって…


その日までサヨナラ…
私の恋心

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