小説 他

□さぁ、微笑みを!
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「ルルーシュ〜?どこにいるんだや〜い。出てこいやぁ」
ぽてぽてと走るスザク。ぽてぽてという効果音だが周りで見ている者はその異常なまでの早さに驚いている。
「スザク、ルルーシュ見つからないぞ」
「嫌だなぁ。もう。なんで逃げるんだか」
「ルルーシュゼロなんだろ〜?それじゃラウンズから逃げたくもなるって」
「今は異世界なんだから別に逃げなくたっていいじゃないか」
「そんな風に追いかけられたら怖くて逃げるさ」
ジノが異常な速さで走っているスザクの隣をこれまた異常な速さで走る。スザクはぶつぶつと文句を言い、そして聞こえてきた声に足を止めた。
「ほぅあっ!」
「今の独特な叫びはルルーシュだよ」
「何今の声。すっごい可愛いんですけどスザクさん」
「知っていますよジノさん。でも手出したら君の使いものにならなくするから」
てくてくと角まで歩きながら高揚するこの気持ち。さながら獲物を追い詰める様な。
「ルルーシュ、別に追いかけっこは楽しいからやってもいいんだよ。なんて言うか君をじわじわと追い詰めていく感じは楽しいんだ。だけど、だけどね、やっぱり触れ合いたいって言うかなんと言うか…」
角を曲がって見えてきた光景にスザクは動きを止めた。ジノも止まっている。
ルルーシュがどこのどいつかもわからない奴の上に乗り頬にキスをしている。ぴきっという青筋が額に浮かぶ音がした。。
「…ラビ、何をしているんですか?」
そして向こう側には呆れたような声を出すアレンの姿。ラビは急いでルルーシュを引っ剥がし、そしてアレンに駆け寄ろうとして神田に遮られた。
「違うんさ!アレン!向こうから走ってきたこいつとぶつかってたまたま頬にキスされただけなんさ!俺はアレン一筋!」
「別に弁解はいりませんよ」
「こいつ…?ルルーシュとぶつかって挙句にキスまでしてもらっておいてこいつ…?」
スザクの目がカッと見開かれる。
「てんめぇこの眼帯っ!羨ましいにもほどがある!返せっ!ルルーシュのキスを返せ!」
「大丈夫ですか?」
そう言ってアレンがルルーシュに手を差し出した。ルルーシュもそれを感受する。
「ありがとう」
「どういたしまして」
「ルルーシュ!何でそんなどこのどいつかもわからない奴とっ!」
「アレン・ウォーカーといいます。よろしくお願いします」
「あ、あぁ。ルルーシュっていうんだ。よろしくな。アレン君」
「アレンでいいですよ」
「アレン。…俺もルルーシュでいいよ」
「ルルーシュ」
微笑み合う2人を見て周りはキュンとする。
「何か人数多くてうざいですね。…というわけで僕とルルーシュ以外いらないと思うんです」
「何故っ!?」
「何故って…僕たち主人公ですし。交流を深めたいんで他どっか行って下さいませんか?必要ないですし」
必要ないと言われ周りは地味に傷ついた。必要だということをアピールしなければ。
「僕は必要だと思うよ。だってなんてったって公式でもはやルルーシュと恋人同然のことをしでかしてるんだから。ねっルルーシュ」
「寄るな近寄るな来るな!」
「そんなに怯えなくたって大丈夫だよ。さっきあの馬鹿ウサギにキスしたその唇を消毒してあげる。ん〜」
「キモイキモイキモイ!」
「止めてください。嫌がってるじゃありませんか」
アレンがルルーシュとスザクの間に立つ。
「うわ…。僕とルルーシュの邪魔しないでくれる?」
「邪魔してるんじゃありません。ルルーシュを庇ってるんです」
「何言ってるんだか。そっちの馬鹿ウサギでも構っててあげなよ」
「馬鹿ウサギを構っていても面白くも何ともありません」
「アレン…酷いさぁ…」
項垂れるラビをみてアレンが溜息を吐く。
「酷くて結構です。…ルルーシュ、行きましょう」
「あ、あぁ」
「白髪、僕の話聞いてた?」
ルルーシュの手を取って歩き出そうとするアレンに向かってスザクが発した一言にアレンは足を止めた。白髪?聞き捨てならない。
「何かいいました?くるくる」
「別にくるくるで構わないね。ルルーシュはふわふわした人が好きなんだもんね。ね、ルルーシュ」
「それが貴方じゃないことは明白ですね」
「本当にムカつくね、君。…やろうか?」
「僕イノセンス持ってますんで加減できないかも。…殺してももちろんいいんですよね」
「もやし…キャラが違うぞ」
「うるさいですよ。神田」
「アレン、そんな奴相手にしなくていい。体力馬鹿なんだ」
ルルーシュの言葉にアレンが振り向いてそうですか、ルルーシュがそう言うならという。スザクは溜息を吐いてルルーシュに近寄ろうとしたがアレンに遮られた。
「相手にしなくていいって…ルルーシュ、君がツンデレなのは分かってるよ。だけどそんなツンだけだと寂しいよ。みんなの前でデレるのは恥ずかしいということも分かってるけど…」
「何かほざいてますよ」
「痛い奴さぁ…」
「馬鹿ウサギに言われたくない」
きっと睨まれてラビはこわ〜いと思っていないような声で言う。それにイラついたスザクがラビの頭を殴るが。
「おいおいスザク、それはあんまりだぜ」
痛さに蹲るラビを見てさすがに不憫に思ったのかジノが言う。だがそれをスザクは鼻で笑った。
「痛いさぁ!…アレンが撫でてくれたら治るかも」
「そんなに簡単に治ったら医者はいりません」
アレンを上目使いで見るもそれも興味なさそうにアレンが鼻で笑う。みんな酷いさぁ…とラビが呟くとルルーシュがそれを心配そうに見た。
「おい、スザク。初対面の人間に対して殴るのは酷いんじゃないか?」
「…何?ルルーシュそいつ庇うの?」
「庇うも何もお前のそれは非常識じゃないかって言っているんだ」
「テロリストの頭にそんなこと言われたくないね」
「スザク!」
思わず言ってしまったことにスザクは少し後悔するがでもこちらも思っていたことだったので謝りはしない。
「うわぁ、最低ですね」
ぽつりとアレンが言う。
「普通好きな人を傷つける様なことをそんな簡単にいいますか?ルルーシュ、そんなに悲しそうな顔をしないで下さい。あんな馬鹿の言うことなど放っておいて僕とご飯でもどうです?みたらし団子って食べたことありますか?あれ凄く美味しいですよ」
アレンがにこやかにルルーシュの手を取り歩き出す。スザクがそれを追いかけようとしたらティムに邪魔をされた。
「僕ルルーシュのこと大好きですよ」
ぎゅっと握られた手にルルーシュが微笑みを浮かべる。それにスザクやジノは叫び、ラビと神田は呻いた。



























さぁ、頬笑みを!


貴方のせいでルルーシュが笑ってくれませんから離れてください。
嫌だよ。ルルーシュは僕のなんだからね。

アレンと久しぶりの仕事だったのになぁ…。
諦めろ。ラビ。
俺も久しぶりにルルーシュに会ったのに…。

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