駄文
□キミイロ
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「ぜぇっったいに悪です!許せません!!」
町から少し離れた場所にある宿。
町の中だと少々値が張る為、少しでも安く泊まろうと提案したリナ。
皆夕飯を済ませ、各自部屋に戻るとアメリアはゼルガディスの部屋に訪問し、唐突に叫んだ。
「…なんだ急に」
一緒にソファに腰掛け、隣で叫んでいるアメリアに視線を一瞬向けるとすぐ書物に視線を移す。
「浮気ですよ!そんな人とは思いませんでした!」
アメリアはゼルガディスへ向き直り、ソファの上で正座するとゼルガディスの腕を握り締め、眉を上げお怒りモード。
(浮気なんてしたか?俺)
ゼルガディスは書物を閉じるとテーブルに書物を置き、ソファに肩肘をつくとアメリアを見る。
「…何かの間違いじゃないか?」
「間違いなんかじゃありません!私、浮気現場をこの目で見たんですよ!?」
ぐいっと距離を縮め、ゼルガディスに詰め寄るアメリアは嘘をついているようには見えなかった。
ゼルガディスは顎に手を添え、心当たりがあるか記憶を辿れども、全く思い当たるふしがない。
(心当たりがないんだが…)
「…それはいつ?」
「昨日です!」
「昨日は4人で1日歩いてただろ。特に単独で行動はしていない」
「その4人でいる時ですよ!」
ゼルガディスは混乱状態。
まさか自分がリナに浮気…などとつらつらと考えていると、アメリアが拳を握り締めた。
「待てアメ…」
「許せません!ガウリイさんあんまりです…」
「…は?」
ゼルガディスは締まりのない顔をし、眉を潜めると安心からか気を緩めた。
「だからガウリイさんですよ!リナさんがいながら他の人を思うなんて悪です!」
「だんなはそんな器用じゃないだろ」
「でも昨日道中ですれ違った女性を見てニヤニヤしてたんですよ?!浮気心ありまくりです!」
アメリアは怒りとは反面に俯くと肩を震わせた。
そんなアメリアを見てゼルガディスはアメリアの頭を撫でようとした…がアメリアはタイミング良く顔を上げた。
「ゼルガディスさん!私、明日ガウリイさんに聞いてみようと思います!もし浮気を認めた時には正義の鉄槌を…!」
「……。」
頭を撫でようとした手は虚しくも空中で固まり、ゼルガディスは溜め息混じり頷いた。