駄文
□PRESENT FOR YOU
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「…ゼルガディスさん…?」
自分の顔を手で覆い、表情が見えないゼルガディスをアメリアは上目使いでおどおどと見る。
「……。」
(…阿呆か、俺にだと?)
まさか自分に作っているとは知らず、空想の人物に妬いていたなど言えるはずもなく、自分のはやとちりにゼルガディスは苦笑した。
そんなゼルガディスを見てアメリアは不安がっていると、不意にゼルガディスはマフラーに手を伸ばし首に巻いた。
「あっ!ダメですよぉ!」
アメリアは奪われたマフラーを奪回しようと腕を伸ばした。
「…十分だ。」
この岩肌では温もりを感じる事は出来ないが、ゼルガディスは気持ちの篭ったアメリアの優しさに触れた気がした。
「完成したら渡すつもりだったんです…、まだ…途中だから…。」
アメリアはぽつりと呟くと視線を落とした。そんなアメリアに愛しさが込み上げる。
「いや、お前の気持ちは十分伝わっている。こういうとことかな。」
ゼルガディスはマフラーの所々に空いた穴を指差す。編み物をする機会などあるはずもなく、必死に編んでいたアメリアを想像すると、ゼルガディスは口元を上げた。
「ゼルガディスさんの意地悪っ!そこは言わないで下さいよぉ!」
恥ずかしさをごまかすようにアメリアは両腕をぶんぶんと振る。ゼルガディスは耐える事が出来ず吹き出してしまった。
「笑うなんてひどいです…きゃっ」
俯いて膨れているアメリアの腕を引き、ゼルガディスはアメリアを抱き上げた。