駄文

□〜続〜 愛-Distance-
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―どのくらい話していないだろうか、1週間…なんて平気で過ぎてる。
あの次の日、リナに問い詰められたが俺は答えなかった。…答えられなかった。
あいつを傷付けてどの面下げて会えってんだ。
これ以上あいつの悲しむ顔を見たくない。だから距離を置いた…。―
















「ゼル、あんたいい加減にしなさいよっ!」

夕食後、リナはゼルガディスの部屋を訪れていた。
リナは腰に手をあて、ゼルガディスを睨みつけた。

「あの子は何もないって言うけど、あんた達の間だけ空気が重いっていうか、お互い避けてるっていうか…。何があったかぐらい話してくれてもいいんじゃない?」

リナはそう言うと椅子にドカッと座り、脚を組む。
一方ゼルガディスは窓の奥行きに座り、目を細め外を見つめる。

「…お前ならどうだ。」

「えっ?」

「…もしお前が合成獣で…、想いを寄せている相手がいるとしたら…お前は自分の気持ちを伝える事が出来るか?」

「ゼル…。」

リナはゼルガディスを見ると言葉に詰まった。それはとても悲しい目で…、いたたまれない気持ちが胸を締め付けた。

「…すまん、気にするな。」

そう告げるとゼルガディスは窓辺から離れ、部屋を出ようとするが、リナの独り言のような小さな呟きに脚を止めた。

「あたしは…言っちゃうかな…。」

「……。」

「だって、悔しいじゃない。…相手に気付いてもらえないなんて。…自分が合成獣だとしても…身分違いだとしても…気持ちを伝えるのは自由よ。」

リナは立ち上がり、ゼルガディスに歩み寄る。
ぽんっと肩を叩くと、リナはゼルガディスを見上げた。

「いい加減…自分を否定すんのやめたら?あの子、どんなあんたでもずっとくっついて回るわよ?あんたが一番わかってんじゃないの?
…あの子、あんたと気まずくなってから毎日泣いてるの…。行ってやんなさいよ…。」

ふとゼルガディスの脳裏をアメリアが過ぎった。
ゼルガディスはリナから視線を外し、しばし瞳を伏せると決心したように瞳を開き、アメリアの下へ向かうため部屋を出た。



「ったく…、世話の焼ける奴らだこと…。
…身分違い…か…。」

リナはゼルガディスを見送ると、自室へと戻った。

 
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