短編
□天使の重力加速度
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空から赤ん坊が落ちてきた。
んで、そのまま地面に叩き付けられて死んだ。
死体は確認出来ない程に木っ端微塵だ。これは流石に死んだ。30回分ぐらい余計に死んだ。これで生きてたら怖いって。
マジ。
バッサバッサと大きく羽ばたく音が聞こえた。
街灯の周りにしか世界は存在していないと錯覚させる程に、限りなく無に近い闇が僕の視界を支配している。
何やら大きな鳥が僕の頭上を頻りに旋回している。
やめろ!
視覚の利かない暗黒の海。
哀しげな鳴き声とともに、ドップラー効果を残して飛び去っていった。
あまりにも暗すぎる道を歩いて、石につまづいた事もわからないぐらい暗い。Cry。暗い。
家の近くの街灯の元に立ってみてもまだ暗くて、あぁそうだった。
僕には眼が無いんだ。
それでも家は明るい。
優しいクリーム色の壁が微笑んでいる。