full moon (仮)
□《1》act.1
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その頃、地上のとある車内では―――――。
「あーっ!!俺の饅頭がねぇ!!」
「さっきの宿に置き忘れてきちゃったんじゃなーいのっ?小猿ちゃん☆」
「猿言うなっ!!つーか、小猿とかなおさら違ぇしっ!!てか、俺の饅頭食ったの、てめぇだろ!?悟浄!!」
「食ってねぇよーん☆」
「…あっ!!歯にあんこついてんじゃんかよ!?やっぱそーじゃねぇか、こんのゴキブリ河童!!」
「あぁん?んだとぉ?バカざ…」
スパパーンッ!
「「〜〜〜ってぇ〜!」」
「…うるせぇんだよ。」
「今日も平和ですねぇ。」
毎度お馴染みこの展開。
むさい男集の旅路であった。((
「…あれっ?」
「どうしたんですか、悟空?」
この中で一番小柄な男―――悟空と呼ばれた男が、突然空を指差した。
「女の子が、落ちてくる…。」
その言葉につられ、指差した先の空を見る他3人。
……確かに何かが落ちてくる。
「……どうします、三蔵?」
「……フン 好きにしろ。」
「ありがとうございます。」
どうやら、片眼鏡の彼は助けたいらしい。
「女の子かぁー。天からの贈り物だな、こりゃ…モチ俺への。」
「うげっ。エロ河童がまた発情しちまったぜ…。」
「おうおう、バカ猿には無縁の世界だもんなっ!そうひがむなって、余計哀れだろ?…猿が。」
「んだとぉ!?……って、こんなんしてる場合じゃなくて!!」
……どうやら、うるさい2人も助ける気はあるそうだ。
「…間に合わねぇんじゃねぇのか、八戒。」
…お坊様も気にはなるようで。
ブォンッ
「「「うわっ!」」」
「スピード上げますから、しっかり掴まってて下さいよっ!」
「…上げてから言うんじゃねぇ!」
「ま、まぁ、三蔵様、落ち着いて」
暴れようとした三蔵をなだめる悟浄。
着地想定位置になんとか間に合った一行。
ほっと胸を撫で下ろす。
そして、悟浄が手を大きく広げ………、その頭を踏み越しジャンプする悟空。
「て、てめぇっ!!猿!!」
「手がいやらしいんだよ、エロ河童!!」
べーっと、舌を出す。
「……うぉっし。」
お姫様抱っこで女の子をキャッチし、着地する。
ついでに顔を見てみる。
ドキッ
…え。
ぶんぶんっと、頭を思いっきり振る。
何なんだ…?今の…。
そこでやってきた他3人。
「助かって良かったですね。」
…とりあえず、まっ、いっか。
…と、1人納得する悟空であった。