full moon (仮)

□《1》act.1
2ページ/5ページ



ひゅううぅ―――――


…あれ。

死ぬと海ん中でも息できるんだ…?

なんか、すごーい…。

てかっ、事故って海に落ちるとか最悪な死に方じゃないっ?

あたし的に超嫌〜(泣)

ケガした水死体なんて…。

あぁ、なんて恐ろしい……。

『……てかっ。』

今、気付いた…。

ここ………





海ん中じゃない!

『空から落ちてるぅ〜〜〜!!』

目の前には白い雲。

横には、遥かに広がる青い空。

…周りに誰もいない。

あるのは、あたしが持ってた大きな旅行鞄1つ。

そりゃ、あたしのほうが重いから先に落ちてるんですけど…。


…あ。

『お母さんと、お父さん……どこ?』

…なんでいないの?

一緒にいたよね?




……あっ、そっか。

やっとわかった…。

そういえば、トラックが突っ込んでくるとき…、2人がとっさにあたしをかばったんだっけ……。

『そのあたしが死んでるってことは……。』

ゴクッ

冷や汗が頬を伝うのが分かる。

『2人とも……死んじゃったんだ…。』
鼻が痛い。

涙がこみ上げてくる…。

『うっ…。(泣)』

お母さん…。

お父さん…。

あたし…、ごめんね。

一緒に天国行けなかったや。


ふと、下を見る。

ゴツゴツした岩だらけ。

向こうのほうから、1台の車が走ってくる。

結構、視力はいいほうなんだっ☆((

『轢かれる…。』

このままじゃ、確実に轢かれる!!

また冷や汗が…。

さらに涙が…。





あれ。

あたし死んでるんだっけ…?

なら大丈夫じゃん!!

でも……、待てよ?

これから地獄行きってのも有り得たり……。



そこまで考えてたら、意識が遠のいていった。

そして、意識を失ったまま落下していったのだった……。

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ