エゴ

□永遠に…。
1ページ/1ページ




…ぐちゅぐちゅと…野分が腰を揺するたびに聞こえてくる淫らで…いやらしい水音と…

甘く蕩ろけるような弘樹の喘ぐ声…。


「ヒロさん…中に出してもいいですか?」


「……ぁっ…はぁ…///。…や…だっ……後で面倒だし…。…っん……く…ぁ…。」


「くすっ。俺やりますから…。」

野分は弘樹の腰を抑え突き押すように、ぐっと最奥に入り込む。

「…あっ…ば…かっ…///。…んっ…はぁ…っ…!」


弘樹は…野分の肩に縋るようにして体を震わせ…繋がった部分を締めつけ高揚して仄かに色づいた肌に白濁を飛ばした。

「ヒロさん…中に…いいですか?」


野分が、もう一度聞くと荒い息を吐きながら小さく頷いてくれた。


「ヒロさん…俺も…いきそうです…っ…っ///。」

野分は弘樹の中で激しく注挿を繰り返し、更に膨んだ楔は脈動を伝えた。


「…の…わき…。」

弘樹の力ない指は野分の黒髪を梳いて…口づけをせがむ。


野分はひっきりなしに嬌声をあげていた弘樹の乾いた唇に口づけた。

「ヒロさん…大丈夫ですか?」

「挿れたまんまで、そういう事聞くなっ!」


「だって、ヒロさんの中…気持ち良くて、…離れたくないです。」

野分は名残惜しいから…と、弘樹を包み込むようにして抱きすくめた。

「…とりあえず…抜けよ。」

繋がったままだとオレの体が、また余計な反応して面倒な事になるんだから…と、弘樹は潤んだ瞳で野分を軽く睨んだ。

「…ヒロさん…そんな可愛い顔で俺を見ないで下さい。」


「…ばっ…///…ちが…っ。……ぁ…やっ…///。」

「…ヒロさん。」

弘樹のわずかにツンと尖った突起を指で摘むと…中はうねるように野分を奥へと誘(いざな)った。







「………オレ…金貯めよ…。」


情事のあと、野分の腕の中で弘樹がポツリと口にすると…野分の腕はピクリと動く。

「…お金ですか?……何か欲しいものでもあるんですか?。それなら俺が…。少しずつ貯金してるのありますし…。」

「そんな、今すぐ欲しいってわけじゃねぇよ…。将来の備えってやつだ…。」


弘樹は、寝返りするように野分に背を向けた。


「ヒロさん?」

不安げに弘樹の背中にピッタリと寄り添う野分に眉をひそめ…

「…ちっ。墓だよ墓。」

「お…お墓…ですか?」

野分は意外な品物に、言葉を詰まらせる。

「なんでまた…お墓なんですか?」

「…いや…今日、チラシ見てたら“終の棲み処、大売り出し”っていうのがあってさ…。値段見たら高ぇのなんの…ビックリだ。こりゃ…金貯めとかないと、死んだ後…入るとこないな…って思ってよ…。」


「…そんなの…考えた事なかったですね。」

野分は、離ればなれになることなど考えたこともなく…想像するだけでゾッとした。

「オレは、お前より年上だし…順番から行けば、オレが先に逝くわけだし…。」

「もしかしたら、俺かもしれませんよ。」

「…はは。…そうだな。野分の方が先に過労死しそうだよな。」

そう言って弘樹は笑った。


「……ヒロさんは…俺がそうなったら…泣いてくれますか?」

「んー。多分泣かないな。」

「……それ…ひどくないですか?…ちょっとくらい泣いてくれても…。」

「…だってよ…泣いた分だけ野分の記憶が零れるような気がする。涙と一緒に流れちまう…っていうか。だから…泣かない。」

語尾が尻すぼみの小さな声だったが…野分は瞠目する。

ずっと野分を忘れないようにと考えてくれるのは嬉しい…。

でも…好きな人と会えなくなってしまうのは、やっぱり悲しい…。


「野分だったら…どうする?」

「俺は…すぐにでもヒロさんの後を追いたいですけど…怒られそうな気がするので…泣きながらでも生きて、ヒロさんが読めなくなった本をいっぱい読んで、お土産話にしますから…ちゃんと迎えに来て欲しいです。」



真面目に答える野分が可笑しくて…申し訳ないと思いながらも、うっかり笑いそうになるのを堪えながら、コクコクと頷くだけの返事をした。


「それから…そのお墓って2人で入るんですか?」

「…あたりまえだろ。」

「…良かった。じゃあ、ずっと一緒ですね。」


「…そうなるかな?」


「…なら、俺も入りますし…やっぱり半分出しますよ。」


野分は、弘樹の首筋にキスを落とす…。

「…まぁ…そんなとこに入んのは、ずっとずっと先の事だ。」


「くすくす。なんか…プロポーズみたいですね…。」

「なんでそうなるっ!」

「…だって、一緒にお墓に入るんですよ?永遠に一緒にいるのと同じじゃないですか。」

そう言って野分は、それはそれは嬉しそうにニコニコ笑うが、墓を買う話でプロポーズと脳内変換されるのも…と、複雑な表情を浮かべたのは弘樹の方だった。



………でも

「永遠に」…か。

野分となら…それも悪くない…。




+おわり+




[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ