エゴ

□勘違い。
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…クリスマスのこの日


どうせ1人なんだから…と、大学で溜まった仕事を片付けていると、携帯が着信を告げた。


「もしもし…野分?どうした?」


『ヒロさん、まだ大学ですか?』


「は?…ああ、そうだけど…なんで?」


『今、家に帰って来たんですけど、ヒロさんいなかったので…。仕事忙しいですか?』

「えっ?あ…いや…かっ帰って来たのか?」

『はい。俺も帰って来れるなんてビックリです。』

「わりぃ!すぐ帰るしっ。」

…まさか野分が帰って来るとは思わなかった。


携帯を閉じたあと、急いで帰り仕度を整えたオレは、研究室を飛び出した。

プレゼントは準備してたけど、人気商品で品薄だったから取り寄せることにしていたが

時期が時期だけに当日入荷になってたから、帰りに受け取るつもりでいたのに…。

…今、手元にないのが口惜しい。



「プレゼントは…明日でいいか…。」


せっかく野分がイブに帰って来たのだから…と、家路を急ぐ弘樹だった。


+++++


「わるいっ、遅くなったっっ。」

玄関のドアを開けると、ローストチキンのいい匂いがした。


…まずい。野分に全部準備させてしまったのか!?

「あ、お帰りなさい。」

エプロン姿の野分が小走りで玄関まで迎えに来てくれた。


「た…ただいま。オレも手伝うから、ちょっと待ってろ。つか、オレやるから…。」


バタバタと上着を脱ぎながら、弘樹が言うと


「あらかた終わりましたから、ヒロさんはゆっくり着替えて下さい。」


野分は、弘樹の鞄を受け取ると…お帰りとばかり頬にキスをした。



「俺…嬉しいです。クリスマスを一緒に過ごせるなんて思ってもみなかったんで…。」


「………オレだって…」

………予想外だ。

クリスマスは、絶対1人だって思ってたし…せいぜい電話の声くらいで、こいつが傍にいるなんて…。


「そうだ…プレゼントも買ったんですよ。」



………プレゼント?


ますます…やばい。

「…ごめん。プレゼント…」

……あー

だめだ…言い訳がましい。


弘樹が口ごもると、



「気にしないで下さい。…俺…ヒロさんと過ごせるだけで幸せです。」


野分は、優しく抱きしめてくれるけど…


それじゃオレの気がすまない。


「…野分。…オレ、プレゼントはないけど…ちゃんと、埋め合わせするから…。」


「そんな…気にしないで下さい。」


「いいや、気にするっ。そうだ、今度の休み…したい事とかあるか?…もしくは、行きたいとことか…。オレなんでもするし。」


「くすくす。じゃあ、何か考えときますね。」


「……お…おう///」




……この

…とってつけたような約束が、この後…忘れられないクリスマスの思い出となるなんて思いもしなかった。



+++++



クリスマス気分を満喫した2人は、ちょっぴり酔いも手伝ってか…会えない日々を埋めるみたいに、互いの身体を求め合った…。



「……はぁはぁ…野分…っ…ゃ…イキ…そっ…///」

弘樹の屹立を口に含んで舌を絡めては吸い上げる野分は、

「いいですよ。全部…俺にください。」

ワザといやらしい音を立て啜った。

「ばか言っ…///…っく…あっ……野分っ…い…ぁ…///」


快感にしなる弘樹の身体を逃がさない野分は、張りつめた陰茎から吐き出されたもの全てを受け止めた。


「…ばかやろ///オレだけイカせやがって…」


瞳を潤ませた弘樹が眉を顰める。

「………じゃあ…ヒロさんも…俺の舐めてくれます?」

そう言って、体を起こした野分は唇に残る残滓を舌で舐めとった。



「……野分の…を?」


瞠目するほど怒張したソレは、ヒクヒクと脈打ち…弘樹は一瞬怯んでしまう。

「………ダメですか?」


「……いっ…いや……ダメ…って事はないけど…」

…いくらなんでも…デカ過ぎんだろ…。


…オレに…コイツをイカせるなんてこと出来んのか?

そんな事を思いながら、野分の熱塊に指を絡めチラリと野分に視線を向けると

期待に満ちた黒い瞳と搗(か)ち合い…自信のなさを露呈するわけには行かない弘樹だったが


「…………。」

やっぱり、怯んでしまう。


「だって、ヒロさん…なんでもしてくれる…って……」


先ほどの約束をぶら下げ、天下御免のしょんぼり顔…。

…その表情の半分でいいからギンギンのソレをスモールサイズにしてみないか?


………とツッコミを入れる気満々の弘樹だったが、野分のおねだりに逆らえるはずもなく…。


戸惑いながらも、野分の逸物を口腔に納めた弘樹だったが、予想通り口いっぱいとなってしまう。


……野分を銜えたまま顔を上げれば、コクンと喉を鳴らし、次の行為を待ちわびているようで…。

期待を裏切らないよう、精一杯舌と口を動かした。


…うー

アゴ疲れて来た…。


…ちょっとツラいかも。

「……んっ///……ヒロさんっ……気持ちい…っ…っ」


…あとちょっと…ってとこか?


いい加減、感覚が麻痺しそうだったが…野分も瀑ぜる寸前なのか、グンと質量が増したのを感じた弘樹がラストスパートをかけると、

「は…あ…ぁ…っ///…ヒ…ロさんっ!」


甘い嬌声とともにドクンと脈打ち勢いよく野分が吐精した。


口腔いっぱいに広がる青臭い味にむせりそうになった弘樹がゴクンと飲み込もうとした瞬間…

野分がグイッと腰を突き上げて来るから、思わず咳き込みそうになるのを堪えると、白濁が逆流し鼻の奥がツーンと痛んだ。



……いっ…い゙ででっ!?


は…鼻に来たっ!


で…出るっ!


鼻から出るっ!



涙目になる弘樹が顔を上げると

絶頂を迎え虚ろな野分には、瞳を潤ませた可愛い弘樹にしか見えず、力の限り抱き締めた。


だーっ!!

は…離せ野分っ!


頼むっ、鼻…鼻かませてくれっ!


ヒリヒリする鼻をなんとかしたくて、テッシュ箱に伸ばす手を野分の指に絡め取られてしまう。


「…ヒロさん…すごくよかったです。」



「………そ…か。」


オレは、それどころじゃねーんだよっ!


いまにも、鼻から出そうなお前のコレをなんとかしないとっ!


ロクに口もきけずに、心の中で叫ぶ弘樹だった。





…この後


強かな鼻の痛みに堪えながら、快感に溺れる結果となり…


しょっぱいクリスマスの思い出として、弘樹の記憶に刻まれるのだった。



(おわり)

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