エゴエゴ
□ボクのパパとお父さん17
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「ヒロさん、パジャマどうしますか?最近、夜もそんなに寒くないし…薄手のものに替えましょうか?」
「あーそうだな。ひろは、どうする?」
「ボクも薄いパジャマがいいですー。」
春も近づいて…夜に湯たんぽもいらなくなってきた今日この頃…。
お父さんも同じことを考えてたです。
みんなお揃いのパジャマで寝るですー。
パパとお風呂に入って、ホカホカのボクは前開きのパジャマに袖を通しました。
でも、ボタンがちょっぴり小さいので四苦八苦していると、お父さんが手伝ってくれました。
「お父さん、ありがとうです。」
「うん。このボタンちょっと小さいから、填(は)めづらいだろ?。」
「大丈夫ですー。毎日いっぱい練習して、早く自分で出来るようになってみせるですー。」
気合い入りまくりのボクの頭を、お父さんは優しく撫でてくれます。
「ふふ…。ひろはエラいね。…でも、頑張り過ぎなくていいんだ。ちょっとずつでいいんだよ。」
「はいですー。」
ボクが返事をすると、小さく頷いて優しく笑いました。
「よし。出来た。」
一番上のボタンを填めてくれたお父さんは、襟をピッピッと直してくれました。
お父さんは、とっても几帳面です。
パパが遅れてお風呂から出て来ると、
「ヒロさん、ダメですよ。髪がびしょびしょじゃないですか。」
「大丈夫だって。すぐに乾くし…。」
「ダメですよ。この間そういって風邪ひいたんですから…。」
お父さんは、急いでタオルを取りに行くとそのままパパの髪を拭き始めました。
「いいよ。自分でやるしっ///。」
お父さんからタオルを奪い取ろうとするパパでしたが、……無駄な抵抗でした。
その日の夜のこと…ボクは、トイレに行きたくなって目をさましました。
お父さんが隣にいないので、パパのお部屋で寝てるんだと思います。
ボクがトイレに行こうとパパのお部屋の前を通りかかると…パパとお父さんの声が聞こえてきました。
「……ヒロさん…寒くないですか?」
「…ああ…大丈夫だ。…野分が…あったかいから………。」
「…ヒロさん…愛してます…。」
「…うん…っぁ…///。」
………なにやってるですか?
ボクがパパのお部屋をノックしようすると、プルプルと体が身震いしました。
…ぉ…うっ!
…き…緊急事態ですっ
………も…漏れるです。
お…おトイレ…行くです…っ。
ボクはノックするのをやめて、急いでおトイレに行きました。
「はーっ///。スッキリしたですー。」
ホッとしてお部屋に戻ろうとするとパパのお部屋からは、
「…っん…ぁ…野分…っ…ぁ…はぁ…っ…っ」
「ヒロさん……すごく……熱い…です。」
……あれ?……パジャマ変えたのに
それでも、暑いですか?
「……ぁ…あっ…。野分…っ…オレも…」
……パパもですか?
コンコン
「パパ、入りますよ?。」
ドアを開けて、ボクの目に映ったのは…
お布団から、馬乗りになった上半身裸のお父さんが、パパのパジャマを脱がせていて………。
「お父さん?…なにしてるですか?」
「ひ…ひ…ひろっ!?」
パパは、びっくりした顔でボクを見ました。
「あれ?ひろ…どうしたん………っ…痛っ!?…い…いたたっ…ヒ…ヒロさんっ……しめないで…っ……。」
キョトンとしていたお父さんが、急に苦しみだしました。
「お…お父さんっ!?どうしたですか?」
「…い…たたっ…ヒロさんっ…お願い……そんなに…しめないで下さ…」
背中を丸めて痛がるお父さんに、
「うるせぇ!。オレだってどうにもできねーよっ!体が勝手に……っ。とっ…とにかく抜けっ!」
……パパ、日本語おかしいです。
この状態は「ぬけ」じゃなくて「脱げ」だと思います。「 "(テンテン) 」が抜けてるです。
「むっ無理ですよっ、キツくて抜けませんっ。」
…お父さんも「 " 」抜けてるです。
面倒がらずにボタンを外してあげればいいのに…
「…お父さん、ボタンを外してあげたら脱げるです。」
「…いや。…ひろ…それの事じゃないんだ…。」
すんごく顔色の悪いお父さんは、額から汗が滲ませながらそう言いました。
「お父さん…大丈夫ですか?顔色悪いですよ…」
「…う…うん…。…でもお父さん大丈夫だから、ひろは、もう寝なさい。明日も幼稚園あるんだし…。」
こんなお父さん見たことないです…。
なぜか、パパも苦しそうに唸っています。
「…お父さん。…パパ」
「うん。…大丈夫。」
お父さんが無理に笑うので、ボクはお布団に行く事にしました。
パパのお部屋のドアを閉めると、お父さんの穏やかで静かな声が聞こえてきました。
「ヒロさん…大丈夫です。ゆっくり深呼吸して…。………そうです。…ゆっくり…ゆっくり…。」
…どうしたですか?
…パパ…暑くて具合悪くなっちゃったですか?
とっても心配です。
でも、お父さんはお医者さんなので、きっとなんとかなるです…。
お布団に入ってもなかなか寝付けなかったボクは………
「ひろ、そろそろ起きないと幼稚園に遅れるぞ。」
………お寝坊してしまいました。
「おはようです。…パパ、大丈夫ですか?」
「えっ…///!?」
……なんで赤くなるですか?
「だ…大丈夫っ///。早く顔洗って来いっ。マジ遅刻すんぞ。」
良かったです。パパ元気です…。
…お父さんは…元気になったかな。
洗面所に行く時、お父さんがキッチンに立っていました。
「お父さん、おはようです。」
「おはよう…ひろ。夕べはごめんな。びっくりしただろ?」
お父さんは、肩をすくめて小さく笑うと、ボクを抱っこしました。
「…はいです。夕べ、そんなに暑かったですか?。」
「あーそれね…。暑かったんじゃなくてね…ヒロさんがびっくりして、アソコが痙攣しちゃって…。」
「アソコって?…どこですか?」
「…アソコっていうのはね……」
「野分ーっ!!!」
ものスゴい勢いでパパが走って来るとボクをお父さんから引き剥がし
「朝っぱらからテメェは何を口走ろうってんだっ!……い…いいか、ひろ。パパは暑かっただけだっ!暑くてちょっとだけ、ノボセただけだからなっ。そうだよなっ野分っ!」
…でも、痙攣したんでしょう?…アソコが。
「…そうでした。でも…ノボセたのは暑くてじゃなくて、俺に…ですよね?」
お父さんは、ボクごとパパを抱きしめると、ちゅっ…とキスしました。
「ば…ばかも休み休み言えっ///。」
真っ赤になって怒るパパですが、何はともあれ2人が元気なら、それでいいんです。
でも、お父さんの言った「アソコ」っていうのが気になるので、今度聞いてみようと思います。
(おわり)