エゴエゴ

□ボクのパパとお父さん16
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「…なに作ってんだ?」

夕飯の後、折り紙を折っているボクに読書中のパパが聞いたので、見せてあげました。


「お雛様ですー。今日幼稚園で習ったです。」


「お雛様?」

「はいです。パパも折るですか?教えてあげるですー。」

「ああ。でも…なんかそれ…おかしくないか?」


パパは、そう言って首を傾げました。


「どうしてですか?」


「だって、ふつうお雛様って、お内裏様とお雛様じゃねぇの?なんでお内裏様だけなんだ?」


金色の屏風にお内裏様を並べていたので、不思議そうな顔をしました。


「うちは、パパとお父さんなので、お内裏様とお内裏様ですー。」

「………。あーそう。」

なぜか、パパはしょっぱい顔を浮かべると、ちょうどお父さんが帰ってきました。



「ただいまです。」


「あ、お父さんお帰りですー。」

ボクが抱きつくと、ヒョイと抱き上げてくれました。

「ただいま、ひろ。いい子にしてた?」

そう言って頬ずりしてくれたので、

「はいですー。」

ボクも頬ずりをお返しすると、お父さんはくすぐったそうに笑いました。


「ヒロさん、ただいまです…。」

そしてお父さんは、ちゅっ…とパパにキスしました。


「……お…お帰り///。」


恥ずかしそうに、パパが答えると

「はい。」

と、お返事をしたお父さんは、もう一度キスしました。

パパとお父さんは、いつも仲良しですー。



「あ…ひろ、お雛様折ってたんだね。」

お父さんは、ボクが折った折り紙を手にとって「上手に出来てる」って褒めてくれました。


「お父さん、ボクの家には、どうしてお雛様ないですか?」

幼稚園のお友達の家には、飾ってあるっていってたのに…。


「えーっと…。うちは男ばっかりだからなぁ。」

お父さんが、困ったように笑うとパパが横から顔を出しました。


「…あのな。雛壇ってのは、女の子の節句に飾るんだよ。うちは男しかいないんだから飾らないんだ。5月の端午の節句で我慢しろ。」


「…つまらないです。ボク、がっかりです。」


「…あ、でも、折り紙だし…うちは世界中の女の子のお節句のお手伝いって事で飾ろう。」

お父さんは、にっこり笑ってボクの頭を撫でてくれました。


やったぁ!

「はい。ボク頑張って作るですー。」




するとパパが、作るならお内裏様とお雛様を一つずつ作れというので、そうしました。


「出来たですー。」


「上手に作ったね、立派な雛人形だ。」


ずっと、傍で見ていたお父さんがお雛様を飾ろうとして手を止めました。

「…どっちだ?。ヒロさん、お雛様ってどっちでしたっけ?」


キッチンで茶碗を拭いていたパパは、

「男雛を向かって左に置くのが“現代式”、右に置くのが“古式”だけど………。」

現代式?…古式?

難しくてわからないです。

「…ヒロさん。すごいですね。」

お父さんも感心しきりです。


「………///。…とっ…とにかくっ、どっちでもいいんだよ!。さっさと飾って風呂に入れよ。」

なぜか、パパは褒められると、すぐに照れて怒ります。




その日の夜のことでした。お父さんのお部屋からパパとお父さんの声が聞こえて来ました。


「……っあ…野分っ。…そこ…ダメ…ぁ…っ///。」

「どうしてです?…こっちの方がいいんですか?」

………どうしたですか?

何気なく現代式で並べたお雛様が気に入らなかったですか?


「…ぁ…っん…そんな…一緒にしたら…おかしくなる…っ…。」


パパの好きに並べていいですよ?


「…そんなことないです。その淫らな姿…すごく綺麗です。」


「……っ…ぁ…はぁ…野分っ…いい…っ…ぁ…」

「……ヒロさ…っ…すごいです…っ…」

「……ぅぁ…急…に向き変えんな…っ……」


「…でも…いいでしょ……?ここ…もう少し…動かしますよ…?。」


「…ぁ…ゃめ…///。の…野分っ…も…だめっ!…一緒に…ぁぁ…っ…!」

「…ええ。…いいですよ。一緒に…。」


…ボクは、どっちでもいいんです。

好きに並べて下さい。



その後も、お雛様の位置について、パパとお父さんは押し問答していました。






次の日の朝…


お父さんが朝ご飯を準備していました。


「お父さん、おはようですー。………あれ?お雛様の位置…結局変えなかったですか?」


「うん?お雛様の位置?……なんで?」

「夕べ、そこがいいとか、こっちいいとか揉めてたです…。」


ボクがそう言うと、お父さんは、


「…ああ…それはね、夕べ、ヒロさんとセック……」


「野分っ!」

パパが大きい声を出したので、最後の方が聞こえませんでした。


「……セック…?」


「ひろっ!それ以上、口にするんじゃないっ!」

パパが、とても慌ててボクの口を塞ぎました。

「…もがっ!?……だって…セック…って…お節句でしょう?」


パパの手をズラして、ボクが見上げると…


「………そぅ。…お節句…だ。」


「ボク、楽しみですーっ。」

「俺も、おセック楽しみです。」


ゴキッ!


「……パパっ!。」

……もうちょっと、優しく殴った方が……いえ…ホントは殴らないでほしいのですが、

時々お父さんは、自分で引き金を引いてしまいます。

「…すみません。軽率でした。」



「…お父さん…大丈夫ですか?」

「大丈夫、大丈夫。慣れっこだから。」


お父さんは殴られたところをさすりながら、幸せそうに笑いますが…


もうお雛様のお節句をしたいなんて我が儘は言わないようにしようと思います。



(おわり)

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