エゴエゴ

□ボクのパパとお父さん11
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パパが…いないです。


「お父さん…パパ出張から、いつ帰るですか?。」

朝ごはんを食べながら、お父さんに聞くと、


「…いつだろうね。3週間くらいって言ってたから…。はぁ…ヒロさんいないと寂しいね。」

…ボクも寂しいですが、お父さんの寂しがりようといったら、尋常じゃないです。


「お仕事終わったら帰って来るですよ。元気出すですー。」


「うん。そうだね…。」

お父さんは、お箸をくわえたまましょんぼりしているです。


ここは、ボクがなんとかするですー。

「お父さん、パパに電話するです。パパの声を聞いたら、きっと元気が出るですよ。」

お父さんは、このところ携帯を開いては溜め息をついて…閉じる…を日々繰り返しています。


きっと、パパの声が聞きたいです。


ボクも、ホントはお電話したいです。

パパの声を聞きたいです。


「でも…まだ寝てるかもしれないし。」

「起こすですー。モーニングラブラブコールするですー。」


お父さんに、ねだって携帯を貸してもらいパクンと開きました。


……………。

待受画面はパパの寝顔でした。

お父さんは、本当にパパのことが大好きなのですね。

「お父さん…すみません…使い方が分からないです…。かけて下さい。」


「え?…あぁ。ひろ…ホントにかけるの?」


………じれったいです。

「かけるですっ!」


お父さんは、小さく肩をすくめるとポチポチとボタンを押してボクに渡してくれました。


呼び出し音が鳴ると、すぐにパパは出てくれました。


『もしもし。』

「パパー!おはようございます。ひろですー。」

『ひろ?おはよう。元気にしてたか?』

「はいですー。パパは元気ですか?」

『うん。元気だよ…。でも、ひろや野分に会えなくて、ちょっと寂しいかな。』

「ボクもです…。パパいなくて、とっても寂しいです。お父さんなんて、ずっとしょんぼりしてるです…。」


「ちょっ…ひろ、ダメだよ。そんなこと言ったら。」


『…ひろ。お父さんにかわってくれるか。』


「はいです―。お父さん、パパですよ。」


携帯をお父さんに渡すと、複雑な顔をして耳にあてました。


「もしもし…ヒロさん?元気ですか?」


…食事中にお電話するのは、いけない事だとパパに教えてもらいましたが………やむを得ません。これは非常事態です。


お父さんが、こんなにも嬉しそうな顔をするなら…今度はご飯じゃない時にかけるです。



名残惜しそうに携帯を閉じたお父さんは、


「ひろ、ありがとう。ヒロさんの声聞いたら元気出てきた。」


「良かったですー。パパなんて言ってたですか?」


「…怒られちゃった。」

………えっ?


「どうしてですか?」


「2人の声聞いたら…会いたくなっちゃうだろうって……。」

お父さんは、ちょっぴり困ったように笑いました。


「怒られたですか?ごめんなさいです。ボクが電話するなんて言ったから…。」


「くすくす。そんな事ないよ。だってね、ヒロさん明後日帰って来るって……。」


「ホントですかー!お父さん良かったですね。」

うんうんと頷きながら、嬉しさをまったく隠さずに…

大きなお父さんの手は、何度もボクの頭を撫でていました。


……お父さん…撫ですぎ…くすぐったいですー。






そして…指折り数えて待ったパパの帰って来る夜…

ボクは、お父さんと2人で玄関に座って待っていました。

「パパ…帰ってこないです。」

お父さんに寄りかかると、ヒョイと抱っこしてくれました。

「ひろ、待ってる時間は…とっても長く感じるけど、会えるって思ったらドキドキするね。」

……お父さんの胸からホントに…ドキドキしてるのが聞こえるです。


しばしお父さんの鼓動を聞きながら待っていると…


「…あ…?ひろ、ヒロさん帰って来たんじゃないかな?」

弾むようにお父さんが言いました。

「シーです。パパの足音なのか確かめるです。」

コツコツと足早に歩く音とゴロゴロとトランクの転がる音は…

「パパですー。」


「うん。」


鍵を差し込む音がして…扉が開くのを、じっと我慢です。


だって、驚かしたいです。

ガチャ…っと、開いた瞬間、パパは驚いた顔で動かなくなりました。


「パパお帰りですー。」

…なぜか…お父さんも固まってて…ボクはツンツンと肘で小突きました。

瞬きしたお父さんは、立ち上がるとパパをぎゅーっと抱きしめました。


「ヒロさんお帰りなさい。ご苦労さまでした。」

「た…ただいま///。」


きっと、お父さんは…お帰りのキスがしたいはずなので、ボクはトランクをゴロゴロして先に行くです。


「ヒロさん、キスしていいですか?」

「1回だけだぞ…///。」

「…はい。」

せっかく気をきかせようと思ったですが…待ちきれなかったですね。


「……んっ…のわっ…長い…って…///。」

「……だって…1回だけっていうから…。」

「ばか…っ///。」

「ヒロさん大好き。」



………どうぞ。ごゆっくりです。


お父さんの嬉しそうなお顔と、パパの照れたお顔を見ると、ボクは幸せなんです…。

「…ひろ。」

パパに呼ばれて振り返ると、

「…ただいま。」

パパは…ボクを抱きあげて頬ずりしてくれました。

「はいです―。」

今晩は、3人で少し遅めの夕飯を食べて、ちょっぴり狭いけど一緒に寝ました。


……明日から、またパパとお父さんのイチャイチャラブラブな生活が始まるですー。




+おわり+




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