Story
□握り締めた拳
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握り締めた拳
呑み込んだ小さな言葉は君に伝わる事はない
仕舞い込んだ大きな気持ちも誰に気付かれる事もなく自分の中で眠ってる
紡いだあの日のあの言葉に痛いくらい締め付けられて
たったひとつ
深く深く刺さるような後悔を心の奥で育てていました
もしも今あの日のあの時に戻る事が出来たなら
何も分からなかった少女に優しく優しく教えてあげるのに
意地を張って嘘を付いても自分を苦しめるだけで何にもなり得ないのだと―…
でもそれは叶わない願い
そして覆すことの出来ない過去なのだ
悔しくて情けなくて握り締めた拳に力を込める
あぁ、何て自分は小さいのだろうか…何て愚かなんだろう…
そっと閉じた瞳から流れた涙が静かに拳に落ちた
チャンスを逃したこの想いは二度と君に伝わる事はない
そしてまた前の様に笑い合える事もないだろう
涙を拭って前を見つめる
望み夢見た未来は自分を訪れる事はないけれど
きっときっと君には明るい未来が来るのだろう
そう思うとまた目の奥が熱くなって鼻が痛くなる
あの日のあの時に紡がれなかったこの言葉を見失う事なくこの深く深く刺さるような後悔と共に心の奥に閉まっておこう
そう誓って握り締めた拳
何よりも強く
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