ギアス連載

01.
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ブラックリベリオンから
…―1年。







《聞けブリタニアよッかつ黙せよ》《力を持つ全ての者達よ!!!!》





死んだはずのテロリスト
ゼロ――…


その名を名乗り再びエリア11に姿を現した仮面の男。
彼がニ度目となる合衆国日本。


そして


ブリタニア帝国に対する宣戦布告を再び
宣言した―――…
















ルルーシュ…君は


「記憶が戻ったか」



突然の声にはっとし足が止まる



「…ラウンズ……?」


真っ直ぐ向けた視線の先にはナイトオブラウンズの制服を身につけた1人の少女が廊下にぺたりと座り込んでいる。


スザクに目を向けることなく、ひたすらバンドから映し出される透過ディスプレイを眺め続ける少女。



「君は…――」
「スザク?何してんだぁ、そんな所で」
「っ…ジノっ」


背後からやって来たジノの介入によりスザクの言葉は遮られる…。


「あれ…バニララじゃん?」


立ち尽くすスザクの脇を通り抜け、ジノは少女の方に駆け寄っていく。



「もういいのかぁ?家の方は」
「いぃんじゃな−い?私は知らん」

「あはは、相変わらずの適当ぶりっ」
「そりゃどうも」

「いや、褒めてないからっ」


バンドから浮き出るディスプレイに軽く触れ、画面をイジリながらジノの問いに答える彼女はかなり器用だと思った。


「ジノ…彼女は」


あっ、という間に置いてけぼりを食らってしまったスザクがジノに紹介を促す。


「あぁ、彼女はバニララ」
「ブリタニアでも指折りの貴族。ヒルヴェルト家の次期当主様にして俺達と同じラウンズだ」




バニララ…

―――…ヒルヴェルト



ジノが紹介した名前を、頭の中で繰り返し噛みしめてみる。



ふいに、透過ディスプレイを眺めていたバニララの視線が移り


一瞬


スザクの視線を捉える。


真っ直ぐに――……


視線が交わった瞬間感じる
違和感。


まるで以前から
彼女のコトを知っているような錯覚に陥る――…


いや。
違う…――

誰かと似ているんだ。
自分の知る誰かと……。



「初めまして」
「ナイトオブセブン、枢木スザクです」


いつもの当たりさわりのない笑顔で自分の中に渦巻くあらゆる疑問を押し隠す。



未だに座ったままの少女に挨拶ついでに手を差し伸べるスザク。


その手を数秒見つめた後、バニララの視線は最初に捉えた手をたどり、最後にスザクの瞳にたどり着く……。



彼女は少し経ってから差し出された手をとり、立ち上がって。
「…ナイトオブラウンズ。バニララ・ヒルヴェルト」と、極淡白に自己紹介を済ませる。



「…―」
彼女の自己紹介にスザクが感じた違和感を察してか、すかさずジノが補足する。

「彼女はラウンズの中でもある意味特殊でさ、ナンバーを持ってないんだ」

「ナンバーを…持ってないって……」




『―――ゼロ…』


突然耳に届いたその単語にスザクが目を見開く。

『通称。ナンバーオー』
『いわゆるナイトオブラウンズのゼロ』


「おぃおぃバニララ、その例えは流石にまずいだろ。仮にも敵さんのリーダーの名前だぜ?」


「いいじゃん、名前に特許はないんだし。誰が名乗ろうと勝手じゃん?」
(いや。そういう意味じゃなくて…っ)


ちゃかしながら指摘するジノに見事、的外れな答えを返すバニララ。





「バニララ嬢…あ…ヒルヴェルト卿ココでしたか………」


その場にそぐわないかしこまった言葉に
反射的に振り返る一同の先には、使いの者らしい男が荒い息を整えていた。


(男の登場に、少女があからさまに顔をしかめるのをスザクは見逃さなかった)


その様子から察するに、あちこち探しまわって来たのだろう。

男はスザクとジノに一通り、お決まりの挨拶を交わした後、バニララに向き直り要件を切り出す。


「ヒルヴェルト卿…そろそろ…」
「……」
恐る恐る促す使いの者に彼女は文句を言うわけでもなく素直に従う。


「ジノまたね。アーニャにも宜しく。」それだけ言ってその場を立ち去ろうとしたバニララをスザクが呼び止める。



どこか重なる細い背中。



彼女がココに居るはずは無いんだ。

理解しているのに
納得出来ない『矛盾』…――




「前にどこかで会わなかった、かな」



柔らかい言い回しとは裏腹に
鋭く真っ直ぐ問う。




数歩先で足を止めたバニララが
振り返りざまに残したのは




「…………さぁ」




曖昧な答えと
不敵でいて
どこか哀しげな

―――――…笑顔だった…












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