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□甘いものはいかがですか
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ルフィ夢




ぼふん。

……また爆発した。

キッチン内に広がる黒い煙。窓の隙間から外へ逃げ出していった。
オーブンの中から焼きすぎたクッキーを取り出して、1つを口の中へ。


「……にがい」


あーあ、どうしよう。
きっともうすぐルフィがここにやってくる。そして満面の笑みでこう言うんだ。


「とりっくおあとりーと!」


ほらね。……え。


振り向けば、ルフィが前と同じように真っ黒の布を身体に巻きつけて立っていた。
その笑顔はお菓子を求めているようで。


……仕方ない、潔く謝ろう。


手に持ったクッキーを後ろに隠した。


「ルフィ、ごめん。甘いもの持ってないよ」

「えー!?お前ェなんか作ったんだろ?」

「えっとね…失敗、したんだ」

「失敗ィ?」


オーブンに近づいて、その光景を目の当たりにしたルフィ。
私は背中を向けて頬を掻いた。


ルフィも呆れちゃったよね…。


手に持っているクッキーを見て溜息を吐いた。


今年のハロウィンはちゃんとあげるって約束したのにな。



さくっ。



後ろから聞こえる何かを食べる音。

まさか。


「ん、食えるじゃねェか」

「ちょっ…何してんのルフィ!死んじゃうよ!」

「死なねェよ」

「コゲを食べたらガンになるんだよ!」

「だってお前ェが作ってくれたもんだぞ?美味いに決まってんじゃねェか」


真剣にそう言うルフィは、結局私が作った(一応失敗作である)クッキーを全て平らげた。

美味しいはずないのに。苦くて食べれないはずなのに。
美味い美味いってルフィは全部食べてくれた。


「っはー!食った食った。また作ってくれよな」

「…うんっ」



甘いものはいかがですか

全然甘くなかったけどさ!

 

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