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□大好きを君に送るよ
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ルフィは目を丸くして、私と私の手の中にあるものを見つめていた。

………なぜ黙る。

意を決して口を開いた。


「る…ルフィ、なんで黙っちゃうの?」

「だってお前ェこれあれだろ、…ばれーぼーる」

「バレーボール!??」


いやいや、これはそんな大きなものじゃないってばよ。
確かにトリュフだからボールみたいではあるけれど。失敬な奴だな。

一向に受け取る気配はない。

なんかムカつく。


「………、いらないならいいよっ」

自分で食べるし。


口を尖らせてそう言うと、ルフィは焦りながら私の持ってる箱を取り上げた。


「いる、いるけどよ!!いるけどお前ェ…」

「……なんだよ人の顔じろじろと見て」


困ったような顔をして、ルフィはおずおずと言った。





「これ…サンジにじゃねェのか?」





何かが崩れ落ちるような。そんな音が聞こえたような。気がした。


なんでサンジ。どうしてサンジ。私サンジのこと好きだったっけ。

違う違う、私が好きなのは、


「…、違ェのか?」


ルフィなのに。


「んな…!!なんで泣いてんだ…!!?」


なんで分かってくれないんだよちくしょー。鈍感め。ルフィのバカ。バーカ。

涙が止まんないよ。何だよ、すっごく自分惨めじゃんか。


「わっ…、私が…好き、なのは…っ」

「え、」

「る、ふぃ…だけっ…なのに…」

「お…おい」

「なんで、サンジが好きとか…言うっ…の…」



なぜか。




「ルフィのバカ…ァァァァ……!!!」



泣き叫んでた。

私ってルフィのなんなんだろう。
そんなの訊かなくても分かるじゃん。…仲間じゃん。それ以上でもそれ以下でもない


ぎゅう


………はず、なのに。

なんで抱きしめられてんの。


「な…なんか悪ィ」


理由分かってんのかコノヤロー。


「お前ェいっつもサンジカッコいいとか、言ってたから…よ。サンジが好きなんかと」

「…それはサンジがナミに振り向いて欲しいって言ってて協力してあげてただけだもん」

「そうだったのか…!?」


ホッとしたのか、身体を離して大きく溜め息を吐いた。


「………チョコ、もらってくれる?」

「んん!」


箱を開けて、1つを口を運んだ。そして、固まった。

…え、何?失敗!?


「ご…ごめん!るふ、」


口に甘さが広がった。
気づけば、目の前にルフィの顔。

キスされてた。


「―――しし!すっげえ美味ェぞ!!」

「……ルフィのアホ」




大好きを君に送るよ
(失敬だぞお前ェ)(いきなりキスするほうが失敬じゃん)(じゃあキスしていいか?)(……、アホ)

素直に甘える5秒前。


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