拍手SS

□片手にはキャンディーを
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エド夢




「エド!今日何の日か知ってる?」

「あ?…10月31日ってなんかあったか?」

「やっぱりこの世界にはハロウィーンがないんだねー」



私がこの世界にトリップして少し経った頃、日本人なら誰でも知ってるであろうハロウィーンの日になった。

クリスマスはないって設定だったし、ハロウィーンがあるわけないか。ですよねー。


本を読む手をやめて、エドはこちらに目を向けた。



「おい。何だよ、そのハロウィーンっつーの」

「私の世界であった外国のお祭りなんだけど、
おばけの格好で『Trick or treat!お菓子をくれなきゃいたずらするぞ』って言ってお菓子をもらうお祭りなんだ」

「…ふーん?」

「でさ、エド!Trick or treat!!」

「………今、菓子持ってない」



明らか目を逸らしてそう答えた。

気づけば汗もちらほらと。


って言うか、



「今の間はなんなの?」

「え?……別に何でもないけど?」


「絶対何かあるでしょ」
「…ねェよ」

「ある」
「ねェ」

「ある!!」
「ねェ!!」



そんな会話が30分近く続く。

先に折れたのはエドだった。さすがは私。



「今!飴しか持ってねェんだよ」

「…いいじゃん、飴ちょうだいよ」

「……嫌だ」

「なんで?そんなに食べたいの?飴」

「そ、そーゆー意味じゃねェけど…」


絶対バカにする。

照れながら小声で呟いた。


ちくしょー、可愛いな。



「スキあり!!」
「ちょ、おま!!」


ポケットの中から飴らしきものを探し出し、それを掴んだ。

見てみると、それは


「…ミルク味?」

「…う…!!」

「エド牛乳嫌いじゃん」

「そ…それはあんまり牛乳の味しねェから…」

「………」


無言でエドにそれを返す。

片手でキャンディーを握ったエドを見つめた。


「……、なんだよ?」


「エド…可愛いッッ!!!」


「こっち来んな変態―――ッ!!!」




片手にはキャンディーを
そんなところも大好きだよ!

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