小説

□拍手
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アキラはアホだ。アホだから今あんなことをしながらこんなことをしている。

「り…輪姦されてる咢、見てみたいな…」

「な…あっ……何言って、んだ……ファキンバカ…!」

「かー…カラスとはやったことあんの?」

「んぁ…あっ…の…、No! …Bullshit! Keep your mouth shut!」

「あ、…英語使うのずるいな」

ずるいもくそもあったもんじゃねー。今何しているかというと、まあセックスをしているわけであって。しかしアキラはゲームをしようと持ちかけてきた。差し詰めどちらが先に相手をイカせることが出来るかだのなんだのそんな類かと思っていたが、奴は「しりとりしよっか」などとほざきやがった。それも単語のしりとりではなく会話のしりとりを成立させろとの条件まで付け足したこのファッキンバカは、下世話な会話ばっかり振ってきやがる。
アキラが提案したしりとりを続けているオレもどうかと思うが、勝負と言われてしまっては断ること自体が負けた気になるし、乗ってしまった手前アキラに軍配が上がるのもなんだか気に食わない。結果こんなくだらないゲームを文字通りプレイしている。
会話が振られその語尾から会話を作り出そうとするも、ずこずこと無遠慮に腰を打ち付けてくる度に襲ってくる快楽の波にどんどん思考能力が削り取られていく。

「早く…っ、言えよ…!」

「……えーっと、…これは語尾『と』でいいんだよな?っ…んー…、十日に一度は流石に、溜まっちゃうよね?」

アキラは仕事、オレは学生兼小烏丸。だいたい十日に一回の頻度でしか会うことはできない。

「っ……寝るだけの女でも、…作れば…いいんじゃね?」

敵は余裕の表情で会話を振ってくる、ついでに腰も。なんだか癪に障るから皮肉たっぷりの表情で皮肉たっぷりな言葉達を紡いでやった。きっと変なところで真面目なアキラのことだ、しりとりのことを忘れて否定しに来るだろう。だがアキラは動揺する様子もなく小さく笑ってからオレの耳元まで顔を近づけてきた。

「…寝るのは本命とだけって決めてるから、無理」

策士策に溺れる、不覚にもちょっとかっこいいなとか思ってしまった。それがオレの感情のボルテージを一気に上げてしまって、もうどうでもいいからイッてしまいたくなった。余計な事なんて考えたくない。てか、アキラだけ考えさせろよ、十日に一度なんだから。このプライドの高いオレが勝負を放棄という血気に逸った愚考に走る。

「……いい、もうギブ。…普通にアキラにぐちゃぐちゃにされてイキたい」

「その白旗宣言より後者の発言のが腰に響くわ」

オレ達は笑い合ってから口付けを交わす。ああ、もうほんとうに、なんか、どうでもいいや。唇がゆっくりと離れると、アキラはオレの膝裏に手を添えて深くオレと繋がり合わせる。アキラが腰を引いた瞬間、置いていかれる、取り残される、一人になってしまう、なんて認めたくもないような感情が渦巻いて必死で逃がすまいと締め付けてしまう。

「っ…寂しがり屋さん、別にこのまま止めたりなんかしないよ」

「……っるせ…」

ずばり当てられてしまった心の内を誤魔化そうと相手の首筋に噛み付いた。それでもびくともしない相手は変わらず腰を動かしてくる。そしてオレの苦手でもあり一番好きな箇所でもある部分を掠められた瞬間、肩から歯は離れ、背中を反らせて甲高い声で啼いてしまった。


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