小説

□Paranormal
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「んっ……あっ、あァ……」

「じゃ、咢の中に入った時にオレが怖いのを半分持って帰ってやるよ」

「んぁ…、っ…半分?」

「そ、半分」

指が一本増える、圧迫感が増す。どんどんと奥へと進む指はオレの内壁を余すことなく擦られていく。指の動きが激しくなってくると快楽の波が次々と押し寄せ感情が昂ぶり、アキラが欲しくなってきた。

「っあぁ、…ンんっ、……な、んで?」

「どっちかが多くてどっちかが少ないんじゃなくって、お互いおんなじだけ怖くなればいい。そしたら怖くなったって、相手も同じだけ怖いんだって思えたら、ちょっと安心するだろう?」

目を合わせないよう努めていたのに、思わずアキラの目を見てしまった。
嗚呼ダメだ、涙腺は言うことを聞いてくれそうにない。

「本当は全部背負ってやるって言いたいけど、そんなこと言ったら馬鹿にするなって咢怒るだろうし。だから、半分こな」

「…………ファック」

ばかばかばかばかばか、アキラのばか。もうダメだ。涙が止まらない。泣くなよって言ってオレの頭を撫でてくれるけど、誰のせいだばか。消えるのが近づいているっていうのに、こんなにもアキラのことを好きにさせないで欲しい。情けない顔を見られたくなくって腕で必死に顔を隠した。

「っ…いつまで待たせんだ。………早く怖いの、持ってけばか」


オレの言葉を聞いたアキラは額に口づけてから指を引き抜いて、固くなった性器を先ほどまで丹念に解していた箇所へと宛がった。膝裏にそっと手を添えられゆっくりゆっくりとアキラがオレの中へと入ってくる。徐々に押し寄せる圧迫感が今日はいつもとは比べ物にならないくらい気持ちいい。オレの一部がアキラで埋められていく、なんだか嬉しくて幸せで、オレはアキラの首に腕を回してぎゅっと抱きつき目の前にある相手の唇に触れるだけのキスをした。オレの中に全てを埋めてしまうと腰は動かさずに、オレの頬にそっと触れキスを返してくれた。オレの口内へと侵入してくるアキラの舌をオレは躊躇いもせずにすぐに受け入れ、アキラのそれに舌を絡めた。アキラがオレの舌に吸い付いた時には腰がゆっくりと動かされ、上下に渡って甘い刺激が走り始める。それに翻弄されるオレはキスに応えている場合じゃなくなってきているっていうのに、アキラはキスを止めようとしない。

「ふぅ…、ンっ……んぅ、アキ、…ラ……っ」

オレの口端からどちらのものかわからない唾液が零れ落ちていく。だんだんと呼吸が苦しくなり、ついに耐え切れずアキラの背中を叩くと甘い吐息を吐き出しながらようやく口を開放してくれた。

「っは……、長ェんだよっ………」

「愛してる子にしか、こんな長いキスしたくない」

「………ファック」

またコイツはこういうことを平気でさらりと言う。言われたオレはどういう反応すりゃいいんだ。これ以上目を合わせるのは照れくさいから相手の肩に額を押し当てて誤魔化した。そんなオレの髪をくしゃくしゃと撫でながらオレの耳元で「可愛いな」と囁かれ、条件反射で文句の一つでも言ってやろうかと思ったが、今までの緩やかな腰の律動から一変してオレに腰を打ち付けるような激しい動きになったから情けない声しか出なかった。

「ふぁっ…!ンぁ……ちょ、…いき、な……うご…なっ…!」

「……咢が、誘ってんだろ?」

「ファック……っ!あっ…あぁあ!」

アキラがある箇所を掠めた瞬間、下腹部に電流が走った。一瞬頭が真っ白になって次にそこを掠められると体中に熱が迸る。何がなんだかわからなくって、言いようのない感覚から逃れようとアキラの背中に爪を立てながら枕に高等部を擦り付けるように頭を振った。しかし、いくら頭をいやいやと振ったところでなんとも言えない感覚はオレからは離れてくれず、ひっきりなしに自分の口から勝手に発してしまう喘ぎ声を聞く度今自分は気持ちよすぎるのかと気づかされる。

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