novel

□生まれる感情
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「あんまり誘う様な目ェしてると襲うぞ、餓鬼…」

「何を今更…高杉はもう何度となく俺を襲ってるじゃないか」

「クク…、人聞き悪ィこと言うな。テメェの誘いにのってきただけだろう?」

「……じゃあ、高杉は俺が…その…誘うようなことしなかったら、こんなことはしないの?」

「さぁな、俺の気分次第だろ?」

「気分次第じゃ困るヨ」

俺は高杉の頬に手を添えて触れるだけの口付けをする。たったこれだけのことなのに胸が熱い。

「俺は結構嬉しいんだけどナ、高杉とこんな風にするの。だから、気分次第って言われて相手にされなかったらなんだか寂しいヨ」

「ほう、可愛いこと言うじゃねぇか、そんな風に言われちゃあ手ェ出すしかなぇよな…」

高杉の手が俺の服を肌蹴させる。その指が俺の肌の上を這うだけで、たったそれだけで体が熱くなる。その右目が俺の目を射止めるだけで、このまま流されてしまいそうになる。今日こそは肝心なことを聞かなくちゃいけない。でないとまた悶々とした日々を過ごすことになる。けど、高杉の唇が首筋や鎖骨、胸元に触れると、喉元まで出掛かっていた聞きたい事は全部喉の奥へと流れていってしまい、高杉に触れられているという幸福感だけが俺を支配してしまう。
高杉の舌先が胸元の突起に触れた途端、俺は肩を震わせて反射的に高杉の服を掴む。

「んっ…あ……」

「テメェやる度に感度よくなってんじゃねぇのか?」

「っ…そうかナ?」

それはやる度に高杉のことが好きになっていってるからだヨ。言おうかなと思ったけど言わなかった。いや、言えなかった。もしも高杉が遊び感覚で俺とセックスをしてるんだったら、俺がそんなことを言ったら重く感じて二度と触れてくれなくなるかもしれない。
重症だ、俺は遊び相手になってでも高杉に触れられていたい、そばにいたいと思ってる。高杉の本当の気持ちを知るのが怖い、俺の本当の気持ちを伝えるのが怖い。
そんな俺の気持ちをよそに、高杉は次から次へと俺へ快楽を与えてくる。乳首をじれったく舐められながら、下着の中で蠢く高杉の手。俺の口からは頭の中で考えていることとは全く違う、ただただ濡れた声をあげる。

「ふぁ…、っ…あ、…たか、…ぎ…」

「…あ?」

「あ、…あぅ、あの……っ」

俺の先走りで響く水音と、俺を見つめる高杉の右目に煽られて、俺は早くも限界に近づいていた。それを訴えるように高杉を見つめても、高杉はわざと知らんぷりをして、とどめにならないじれったい刺激を与え続ける。

「やっ、あ……たか、す…ぎ……意地悪、しないで…っ」

「意地悪だァ?テメェがちゃんと頼めばイカせてやるよ…」

やっぱり意地悪じゃないか。俺が恥ずかしくて言えないようなことを強要してくる。断れるはずがない。絶頂の直前まで来ているのもさることながら、ここで高杉の要望を蹴ってしまったらもう相手をしてもらえなくなるかも知れない。そんな怖いこと、出来るはずない。…ねぇ、高杉はそれを知っててそんな風に意地悪するの?


「ん…、高杉……イキたいヨ…っ、イカせて…」

「クク…、よくできました」

俺の言葉を聞いて満足そうに笑みを浮かべた高杉は、俺の頬に軽く口付けてから張り詰めているそれを強く握り一気に扱いた。

「あっ、あぁ、…ん、……っあぁぁ!」

高杉の愛撫に呆気なく果てた俺は胸を上下させて息を整えようとする。気持ちいい、高杉に愛撫されると気持ちいい。今まで女と何度か寝てみたけど、こんなに気持ちよかったことはなかった。やっぱり俺は高杉のことが『好き』なんだ。気持ちがあるのとないのとじゃ、こんなにも違うんだ。



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